国ごとに異なる「キャッシュレス事情」
イタリアのミラノの場合
観光立国のインバウンド対策でキャッシュレスが推進されているのかと想像していましたが、実は2022年で24%。友人は、電車やバスはチャージ式のICカードを使うそうですが、10回分ずつこどもに入金させて、お金であることを意識させると言っていました。
スーパーではカードを使えても、イタリアらしい街中の市場では使えないこともしばしばで、こどもへのおこづかいはユーロで渡しているそうです。キャッシュレスと現金の使い分けは日本と大差なく、学校での金融教育も積極的なものは特にないそうです。
カナダのトロントの場合
カナダの普及率は2021年で63%で、日本よりかなり高くなっています。カナダの主流な手段は、約半数がクレジットカードです。実際に、カナダ人の父と日本人の母の家族では、高校生のお子さんには現金を渡すことはなく、こどもの銀行口座に送金し、こどもは銀行のキャッシュカード(デビットカードのように口座に残高がある場合に支払い可能)かスマホで支払いをするそうです。
トロントでは12歳までは大人の同伴なしに外出できず、1人で家に残しておくのも違法になるので、基本、1人でお金を扱うのは13歳以降。しかし、早期から金融教育が行われ、学校で現金を使ったお金の基本や経済活動を体験型で学び、その流れでキャッシュレスの知識も学ぶそうです。
キャッシュレス先進国の裏側では、こどもたちへの金融教育が早期から必須課題として行われ、国民の金融リテラシー向上のための体制が整えられていることがわかります。
中国の上海の場合
そして、最後に世界でトップクラスの普及率を誇る中国の友人にも聞いてみました。
中国ではコロナ前から、スマホでのQRコード決済が生活の大部分を占め、外出時は、充電器を持ち財布を持たないのが普通とのことです。つまり、小学生くらいのこどもは現金をあまり見ることがないまま育ちます。お金は使ったらなくなるという増減を示そうにも、現金を出すとコンビニですらお釣りが出ないということもしばしば。
まだスマホを持たない小学生のうちは親に買ってもらうしかなく、自分でお金を使う練習の機会がないまま、単独行動をする中学生になると、自分のスマホにおこづかいが送金され、いきなりスマホ決済を使いだすこどもも少なくないそうです。
友人が唯一、小学生のこどもに現金を持たせられるのは、通っているインターナショナルスクールで毎週開催されるバザーだけとも話してくれました。そこだけが、こどもたちが現金を使って増減を体感し練習する、貴重な機会となっているそうです。
上記3国は、キャッシュレス化の段階がそれぞれ違います。その段階で、こどもが置かれるお金環境も大きく左右されていることがわかりました。豊かに生きていくためのお金スキルを身に付けるには、
②その感覚を生かしながら、便利なキャッシュレスを取り入れる。
この順番が必須だと感じています。日本の学校でのお金教育は始まったばかり。その前段階として、家庭のなかで親を見て真似ることが、こどもにはリアルな体感として響きます。幸い、まだまだ現金を大切にする国民性で、現金が使えないところはない日本です。家庭でこそ育める、現金を使った大事なお金の基本を親子で意識してみませんか?