キャッシュレスを持たせる前に!現金で身に付けておくべき5つのお金のキホン
キャッシュレスでは体感しにくい、現金だからこそわかりやすく伝えられることは少なくないですよね。特に意識して伝えたい5つのキホンをお伝えします。
『お金は道具』その役割を知る
お金は、物の価値をはかりながら物と物を交換する道具であり、お金そのものには価値はありません。お金持ちになりたいと言うこどもに、筆者はよくハサミの例で話します。
「たくさんハサミがあったとしても邪魔だし、上手く使えなければ、あれもこれも使ってみて振り回されるだけで、危ないものにもなるよね。道具は上手に使えてこそ便利で、使い勝手がよいほど嬉しい気持ちや幸せな気持ちを生み出すものだよね。お金も一緒だよ」と。「将来、道具に振り回されるような大人にはならないでね」と伝えています。
『お金は使ったら減る』を知る
支払う際に財布からお札が減っていく経験は現金でしかできません。親のスマホやカード決済を見て育つこどもは、魔法の電話や魔法のカードだと勘違いし、いくらでも使えると感じてしまうようです。おこづかいで自分のお財布からお金が減る体験が重要です。
また、筆者は銀行のATMでお金を引き出す際に、「さっきスマホでピッと支払った分は、銀行さんがママの代わりにこの口座からお店に払ってくれてるの。その分のお金がなくなってるよー」としっかりお金が減っているアピールをしています。
『ニーズ』と『ウォンツ』を考える
今月のニーズは? と月予算としてあらかじめ考えておくことも必要ですが、考えるタイミングとしては、欲しいと思い手に取ったその瞬間と、現金の場合はさらにもうワンチャンスあります。
小銭を探したりお札の枚数を数えたり、支払う行程が多くなる現金払いの場合、その手間がフィルターのように働き、「本当に必要なもの?」「また今度でもいいかも」など、親子で思い直したり葛藤する時間にもなりますね。
お金は感謝のしるし
お金は経済をスムーズに回す血液とよく言われますが、こどものうちから自分もその一端を担ってるということを話してあげたいものです。筆者はわかりやすく、『感謝の気持ち』にのってお金は回っていると伝えています。
働いてくれる親への感謝だけでなく、自分がモノやサービスを買う際にも、ありがとうの言葉を添えてお金を払う習慣ができたら素敵ですね。その理解があれば、将来、世界の経済発展に自分のお金を投じ運用するという投資への意識も、自然と芽生えてくるでしょう。
お金の動きを記録する習慣
キャッシュレスになると利用履歴をデータとしていつでも見ることができて便利ですが、そもそも振り返る習慣がなければ、計画的に利用したり貯蓄できているかの確認をしたりせず、気づかないうちに大きな出費をしていたということにもなりかねません。
実際に、キャッシュレス払いのほうが現金払いの1.7倍も多くお金を使ってしまうという調査結果も報告されているので、お金を使い始めるこどものころからの確認の習慣が自分を守るという意識で、ぜひおこづかい帳から始めてみましょう。
キャッシュレスこそ親の目が届くうちにスタートしよう
今よりもっとキャッシュレス推進が進む未来の日本で、より豊かに生きるための金銭感覚をどこで体感し磨いていくか、親として考えていくことは急務だと感じています。
多感なこどものうちに、実際に現金に触れ、視覚や触覚などの“五感”でお金を感じた成功と失敗の経験が、将来、お金がキャッシュレスに形を変えたとしても、上手に付き合っていく大人になる鍵になるのではないでしょうか。
そのためにも、過剰に恐れることなく、親が一緒に確認してあげられる間に、現金もキャッシュレスも自分が心地よく使えるバランス感覚を養っていきたいものですね。
北村 由紀
ファイナンシャルプランナー