何千万円かを借り入れて、30年ほどで返済。そんな住宅ローンを組んで実現するマイホーム。そんな庶民の夢を相続でゲットするケースも。自身が居住するために、まずは遺品整理をしなければなりませんが、そこで思わぬものを発見することもあるようです。
すごいモノを見つけました!田畑の残る郊外の実家を相続した〈年収650万円・49歳の三男〉…2階の押入れで発見した「父の形見」に興奮 (※写真はイメージです/PIXTA)

亡き父がひとりで暮らしていた、雑然とした実家…リフォームに向けてまずは遺品整理

ただ実家は築40年以上経ち傷みも目立ちます。また雨漏りでしょうか、台所・ダイニングの天井は大きなシミが。白が基調の壁紙クロスも黒ずみが目立ち、何とかしたいところ。

 

――リフォームは必須かな

 

前出の『令和5年住宅市場動向調査』によると、リフォームの動機として最も多かったのは「住宅がいたんだり汚れたりしていた」で45.3%。「家を長持ちさせるため」「台所・浴室・給湯器などの設備が不十分だった」「不満がなかったがよい住宅にしたかった」と続きます。

 

またリフォームを実施した場所としては、「居間」が最も多く22.7%。ほか「外壁」が21.4%、「屋根」が16.2%。このあたりは定期メンテナンスといったところでしょうか。さらに「トイレ」や「浴室」、「キッチン」と水回りでリフォームが16~18%と多くなっています。

 

――何はともあれ、遺品を整理しないと

 

と伊藤さん。母が亡くなってから10年ほど、父だけが住んでいた家です。正直いって、整理整頓されているとは言い難い状況。モノが多く、遺品整理せずにはとてもリフォームとはいかなさそうでした。

 

総務省『遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書』によると、業者に遺品整理を頼んだ場合、契約金額の平均は約42万円。結構な金額です。「仕方がない、自分でコツコツと進めるか」と伊藤さん。毎週末は実家に赴き、遺品整理を行う日々がスタートしました。

 

遺品整理を初めて数週間後のある日、「すごいモノを見つけた」と興奮する伊藤さん。2階の押入れを整理していたときのこと、奥にあった大きな段ボールから見つけたのは、大量の古いレコード。

 

――もしやプレミアムもの!?

 

そこでふと、伊藤さんがまだ幼かった頃、随分とレコードに凝っている父親の姿が思い出されました。子どもにはレコードの価値などわかるはずがなく、おもちゃにして遊んでひどく叱られたことも。この時を境に、家の中にあった大量のレコードがどこかに消えてしまいましたが

 

――こんなところにしまってあったんだ

 

父親の秘密に触れたような気がして、少しうれしくなる伊藤さん。最近、日本のレコードは外国人から人気で、レコード店巡りを目的に来日する観光客も増えています。プレミアムがつき、驚愕の価格がつくものも。伊藤さんが発見した大量のレコードは保存状態のよいものが多く、珍しいものもあるかもしれません。

 

そこでふと気になったのが相続税。相続税には基礎控除があり、その額「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」。伊藤さんの場合、4,800万円までは相続税がかかりません。計算上、今回発見したレコードが、総額1,000万円以上しないと相続税はかからないはず。とりあえず相続税の申告と納税は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内に行うのが原則。急ぎ、大量のレコードの評価をしなければなりません。

 

急に慌ただしくなってきた伊藤さん。鑑定の結果を待っているところだといいます。

 

[参考資料]

国土交通省『令和5年住宅市場動向調査』

総務省『遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書』

国税庁『No4152 相続税の計算』