親子のカタチはいろいろ。なかには、何十年も顔を合わせていない……そんなケースも。それでも「血の繋がり」はなかなか切れないようです。
疎遠だった〈80歳父〉年金月10万円生活のなか孤独死…叔父・叔母「墓には入れない」と納骨拒否、〈48歳ひとり娘〉遺骨を抱きしめ呆然 (※写真はイメージです/PIXTA)

ある日、警察から電話「お父さんが亡くなられて発見されました」

30年ぶりの親子の会話でしたが、それでも父親への嫌悪感は消えず、アパートの更新時期のときだけ連絡がある間柄に。それ以外では、たとえ父親からの電話があっても出ることはなかったといいます。

 

しかし、ある日、何度も何度もかかってくる父親の電話を不審に思い出したところ、出たのは警察。そこで告げられたのは、父親が亡くなった状態で発見されたということでした。

 

きっかけは近所からの通報。「ポストに入らないくらい郵便物が溢れている」。それで警察立会いのもと鍵を開けたところ、すでに亡くなっている父親(享年80歳)が発見されたという顛末でした。

 

――いってはいけないことだが、面倒なのはここからでした

 

遺体の引き取り、葬儀、遺品整理、そして特殊清掃……「えっ、これって誰がお金出すの?」と思ったものの、警察や大家等の手前、なかなか駄々をこねることはできず、まずはいわれるがままに段取りし、お金を払ったといいます。

 

ただショックだったのが、遺品整理のとき。「大切なものがあるかもしれないので」と、業者から立ち合いを求められたのだとか。何ともいえないニオイが立ち込める、父親が住んでいたアパート。そこで見つけたのは、月年金10万円をもらっていたという年金記録と、ほとんどお金の入っていない預金通帳。

 

――これでどう暮らしていたんだろう

 

嫌悪感を抱いていた父親でしたが、いたたまれない気持ちになったといいます。ただ感傷に浸るのはここまで。問題は遺骨。

 

さて、これはどうしよう……。離婚しているのだから、母と一緒にするわけにはいかない。通常であれば父方のお墓に納骨すべきだが、叔父や叔母に父親が亡くなったことを連絡しても「勝手に葬儀でもなんでもどうぞ」と、取り付く島もなかったといいます。

 

――絶縁されたといっていたっけ

 

ただ納骨くらいさせてもらっても迷惑はかからないだろうと、改めて叔父や叔母に連絡してみましたが、「絶対に山本家(父親の名字)の墓には入れさせない」とピシャリ。そこで、父親と叔父と叔母は、相続問題でこじれにこじれ、絶縁状態になったことを知ったといいます。細かな話はききませんでしたが、「どこまでも迷惑な父親だ……」と、印象はさらに悪くなったといいます。

 

――ほんと、これ(父親の遺骨)どうしたらいいの

 

呆然とする美奈子さん。そこでお世話になった葬儀業者に聞いてみたところ、比較的安価な永代供養墓を紹介してもらったといいます。ただその額、十数万円。「私が払う必要って、本当にあるの?」と疑問に思いながらも、「自分の親だし、仕方がない」と払ってしまったといいます。