大学進学率は6割に迫るなか、進学に際しネックになるのはお金のこと。そんな悩みを解決してくれるのが「奨学金」です。「奨学金があったから大学に行けた!」と感謝の声が聞こえる一方で、「返済が苦しい」「返済できるか不安」というネガティブな意見も多く聞こえてきます。
手取り23万円・33歳「元エリート候補のサラリーマン」が借金苦…月2万円「奨学金返済」に悲鳴「甘くみていました」 (※写真はイメージです/PIXTA)

サラリーマンの「4人に1人」が奨学金を返済

カネとホンネ調査研究所が20~39歳で会社員の男女に行った『奨学金についてのアンケート調査』によると、サラリーマンのうち奨学金を利用していたのは27.3%と、4人に1人の割合で、奨学金の利用金額は平均282万円、返済期間は平均13.5年でした。単純計算、無利子であれば月々の返済額は1.7万円ほどということになります。

 

奨学金利用額の分布をみていくと、最多は「200万~300万円未満」で32.1%。大学4年間、月々4万~6万円ほど借りていたことになります。

 

【奨学金利用額】

・100万円未満:5.2%

・100万~200万円未満:16.9%

・200万~300万円未満:32.1%

・300万~400万円未満:22.5%

・400万~500万円未満:12.0%

・500万円以上:11.2%

 

社会人になってから返済が始まる奨学金に対してどう思っているかを聞いたところ、「勉強する機会が得られたよかった」「親に負担をかけずに済んでよかった」という人が共に37.8%とトップ。ポジティブな意見が多いなか、「返済のために生活が厳しい」「これから先の返済が不安」というネガティブな感情を抱いている人がそれぞれ2割ほどいます。

 

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマンの平均給与は、20代前半で24.3万円。手取りは独身で19万円ほどになるでしょうか。年齢と共に順調に昇給していき、奨学金が払い終わる30代後半では37.8万円、手取りで独身で28万円、子どもがいると30万円ほどになると考えられます。

 

【年齢別「大卒サラリーマン」の給与】

・20~24歳:243,200円/3,561,800円

・25~29歳:282,700円/4,740,000円

・30~34歳:325,600円/5,493,600円

・35~39歳:378,500円/6,455,400円

・40~44歳:424,100円/7,041,500円

・45~49歳:467,400円/7,745,000円

・50~54歳:505,700円/8,396,500円

・55~59歳:532,300円/8,791,200円

・60~64歳:449,100円/6,901,400円

※数値左より、月収/年収

 

大学時代に奨学金を利用していた人の多くが、親元を離れて進学してた人たち。大学進学を機に1人暮らしを開始し、大学卒業後に就職しても実家に戻ることなく1人暮らしを継続、そういうパターンが多いでしょう。手取り月20万円以下のなかから、毎月家賃を払い、携帯電話代を払い、食費を払い……そこで月2万円の奨学金返済。当初思っている以上に、奨学金返済は大きな負担だった、というのはよくあるパターンです。