奨学金返済なんて余裕!エリート候補のサラリーマン、甘くみていた結果…
――奨学金の返済、正直、しんどいです
そう悲鳴をあげるのは、10年前に大学を卒業し、いまなお奨学金を返済しているという山中崇さん(仮名・33歳)。出身は誰もが知る一流大学。新卒で入社した会社も誰もが認める一流企業で、いわゆるエリートコースを歩んでいたといいます。初任給も他から比べると高水準で、奨学金返済も余裕だと考えていたといいます。
――奨学金なんてすぐに返し終わるだろって思っていました。甘かったですね
歯車が狂ったのは、入社2年目のとき。「限界でした」と山中さん。人間関係に悩み、退職を決意します。「新卒で入社した会社を辞めてからは、まったくついていない」という自己評価。現在、情報サービス系の会社で働き、給与は月収30万円、年収が500万円に届かないほどと、“平均以下”の状況が続いているといいます。
――手取りは月23万円ほど。そこから奨学金返済が月2万円。いまだに返済負担が重くのしかかります
奨学金返済は残り100万円を切り、できれば繰上げ返済して解放されたいと山中さん。そう思うのも、交際8年に近くになる恋人との結婚を考えるから。しかし奨学金を返し終わらないととても結婚に踏み切れないといいます。
――あと3年ほどで完済しますが、それまで交際が続いていないかもしれない……
労働者福祉中央協議会が行った『奨学金や教育費負担に関するアンケート調査』でライフイベントにおける奨学金返済の影響をみていくと、「結婚に影響がある」は4割弱、「出産」「子育て」「持ち家取得」には3割強が、「奨学金返済の影響がある/あった」と回答しています。
奨学金という名の借金。その返済が、ライフイベントにまで影響を与えるという実情が広く知られるようになりました。昨今は、返済不要の給付型奨学金も増え、学ぶ意欲があればサポートを受けられる体制も整いつつあります。
[参照]