3年前から親の介護。認知症も発症し、寝たきり状態に
総務省『令和3年社会生活基本調査』によると、15 歳以上でふだん家族を介護している人=介護者は653.4万人。男女別にみると、男性が 256.5人、女性が396.9万人で、介護者の6割が女性が占めています。さらに年齢別にみていくと、介護者数が最も多いのは50代で183.6万人。人口の10.9%を占めます。人口に対して割合が多いのは60代で、介護者は175.1万人、全60代の11.7%を占めます。また5年前調査からの増減でみると、70代以上の増加率が最も高く、4.9%増。50代は0.8%増で、ほかの年代は5年前と比べて介護者は減っています。
また 介護者における介護・看護時間は、男性が2時間26 分、女性が2時間21分。5年前調査で、初めて男性が女性を上回り、本調査でも引き続き、男性>女性となりました。この20年の傾向では、男性はほぼ横ばいに対し、女性は微減。少しずつではありますが、介護に携わる男性が多くなったことが影響していると考えられます。
中山悟さん(仮名・46歳)も、81歳になる父を3年前から介護しているといいます。ひとり暮らしだった父は、自宅アパートで転倒、骨折をしたのを機に、歩行での移動が困難に。ひとり息子である悟さんが、たまに介護のためにアパートを訪れる……介護生活は、そんな穏やかなスタートだったといいます。
しかし2年ほど前に認知症が発覚。生活するうえで、少し支障がある程度だった症状は、悟さんが考えていた以上に進行が早く、半年くらい前からは目の前にいる悟さんを認識できなくなったといいます。また認知症の進行とともに、足腰も弱くなり、ほぼ寝たきり状態になってしまったとか。
生命保険文化センター『2021年度生命保険に関する全国実態調査』によると、介護の一時的な費用が平均74万円、介護の月額費用は平均8万3,000円でした。ただ中山さんの父親は年金が月6万円ほどで、とても介護費用を賄うことはできず。悟さんは仕事を辞め、付きっきりで父親の介護にあたるようになったといいます。