老後資金への不安感が募るなか、給料以外で収入を得るため、投資を行うサラリーマンが増えています。新NISAの拡充により、この動きは加速しました。しかし、2024年8月の株価乱高下を受けて、いまの投資方針で問題ないのか、と不安に思う人も少なくありません。そこで本記事ではサラリーマンの資産形成としての「不動産投資」について、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
「ふつうのサラリーマン」が銀座の高級不動産に投資する方法【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

不動産投資のデメリットをカバーできる手段

不動産投資のメリットとデメリットを踏まえると、金融資産以外の投資先として現物投資の不動産という選択肢が出てくる人もいるでしょう。しかし、サラリーマンがいくら頑張っても小さな一棟アパートのオーナーになるのが精いっぱいです。借り入れをしレバレッジをかけると利回りが上がりますが、借金も増え、家族も不安になるでしょう。ふつうのサラリーマンにとっては、不動産を購入するために多額の元手資金を用意するということに対して、大きな壁を感じるかもしれません。

 

その壁を乗り越えるには、不動産クラウドファンディングという手段があります。不動産クラウドファンディングを利用すると、たとえば個人では到底買えるはずもない銀座の商業ビルに投資することも可能になります。1万円からという少額で投資することも。

 

また、金融投資やREITと比べて値動きは激しくありません。元本を毀損させたことがないという運営会社もあるほど、不動産クラウドファンディングはリスクが低めと考えていいはずです。

 

ただし、デメリットも存在します。

 

・途中解約が難しい、あるいは不可能

・配当金は雑所得として総合課税される(年収が上がってしまう)

 

途中解約の点については投資家からの買取りを行う仕組みを用意している運営会社も存在するので確認が必要です。雑所得しての課税については、高所得の会社員にはデメリットと捉えられがちですが、年収が高くなるということは金融機関での属性も上がるということでもあるため、自分で現物不動産を買う際に融資を受けられる可能性が高くなるということでもあります。

 

いずれもデメリットの克服は難しくはないでしょう。

 

投資信託であるREITと異なり、投資対象がぐっと身近に感じられるため、投資家として物件に感情移入しやすいのが人気の理由のひとつです。運営会社がどんな物件を買うのかという「こころざし」の部分に共感できたら、物件やその街を応援する気持ちにもなれるでしょう。

 

不動産クラウドファンディングはどれも同じではありません。理念やこころざしの部分をよく理解し、参加することが重要です。
 

 

長岡 理知

長岡FP事務所

代表