いつかは直面する「親の介護」。最後の親孝行として献身的に支える人も多いでしょう。一方で、重い介護負担にくじけそうなことも珍しくありません。さらに介護がきっかけで親子関係がこじれることもあるようです。
お金、請求していいですか?年金17万円「83歳父」の介護のために「49歳長女」が〈片道1時間半〉×〈週3〉で実家通い…感謝の言葉も一切なしに立腹 (※写真はイメージです/PIXTA)

親の介護…近くに住む「長女」の私がやるべきですか?

実家でひとり暮らしの父(83歳)の介護をする、久保田孝子さん(仮名・49歳)。沸々とした怒りをあらわにします。

 

――実家まで片道車で1時間半。それを週3回。そこまでやって「ありがとう」の言葉もない

――当たり前だと思っているのなら大間違い

――ガソリン代も高いんだから。お金を請求していいですか?

 

家族は他に5つ上の兄と1つ下の妹がいますが、どちらも飛行機で来るような距離に住んでいます。父親は転倒・骨折→入院することになりましたが、リハビリが功を奏し退院。しかし、人の支えがないと歩行が困難になり、要介護認定。一人暮らしに不安が残るなか、施設に入るか、在宅介護にするか、二択でしたが、父親の強い希望で在宅介護になったといいます。ただ介護業者につきっきりで面倒をみてもらうのは、年金17万円程度の父親には経済的に無理。そこで、週3回程度、孝子さんが実家に行き、介護するようになったのだといいます。

 

国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』によると、妻方・夫方の いずれか「母親」については、家事や子育てのサポートをしてくれる存在であることから、調査年度によって多少の幅があるにせよ、「60分未満」が7割。一方、「妻の父親」については「60分未満」が5割強と、母親と比べて物理的な距離が生じているケースが多いようです。

 

誰が親の介護を誰が担うのか――。そんな難題に対し、子ども等全員が現実的に通えない距離にいるのであれば、全面的にプロにお任せするしかありません。ただその場合、ネックになるのは費用。介護度があがればあがるほど費用はかさみ、在宅介護を継続させるのは……となるでしょう。そのような事情からか、誰かひとりでも何とか通えそうな距離にいるのであれば、その人に介護負担が集中してしまうのも、仕方がないことかもしれません。