介護費用は、施設なら月12.2万円、在宅なら4.8万円
厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、要介護者と主な介護者との関係においては、同居の家族が45.9%、別居の家族等が11.8%、事業者が15.7%。また主な介護者が別居の家族等の場合、主な介護者が男性なのは26.0%、女性は71.7%。圧倒的に女性が介護の負担を被るケースが多いようです。「家事は女性の仕事」という考えは根強いもの。その延長線にある介護もまた「女性の仕事」と押しつけられるケースは珍しくないのではないでしょうか。
孝子さんの場合、現実的にみられるのは孝子さんのみ、という事情はあるにせよ、「長女のあなたがみるべき」というプレッシャーを感じたといいます。
孝子さんも「長女だから仕方がない」と思うところもあったといいますが、我慢ならなかったのが、父親の対応。年に2回ほど、帰省する兄と妹。父親は「遠いところから、大変だったね」と、交通費・宿泊費プラスαを渡すそうです。
確かに家族全員の飛行機代と宿泊費を考えると、結構な金額になります。しかし、週に3回、1時間半の道のりを車を走らせてやってくる孝子さんにはねぎらいの言葉もなく、「やってもらって当然」という態度。
――私がいることで、どれだけ介護費用が浮いてると思っているんだ!
そんな怒りの言葉を抑えるのも必死だといいます。
生命保険文化センター『生命保険に関する全国実態調査 2021年度』によると、介護に要した費用は一時的な費用の合計が平均74万円、月々の費用は平均8.3万円(ともに公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)。もし施設に入っていれば平均12.2万円、在宅の場合は平均4.8万円。孝子さんがいるからこそ、介護費用を抑えられていることは明白です。
そんな孝子さんの怒りを投稿したところ、「父親はもちろん、兄や妹にもお金を請求すべき」という声が多数。確かに、介護負担が孝子さんに集中している現状。兄や妹から感謝の言葉があって当然ですし、金銭的なバックアップがあっても不思議ではありません。
勇気づけられた孝子さんですが、「そんなこと言って、変な関係になるのでは……」という心配も。親の介護問題で、きょうだいの関係が破綻したという友人を、孝子さんは知っています。
――家族の問題なのにお金を請求するなんて……許せない!
そんな反撃が待っていそう。しばらく、ぐっと我慢する毎日が続きそうだといいます。
[参考資料]