2年連続、夏の賞与アップとなった国家公務員。人気職業の代名詞ですが昨今は低迷、官僚離れが深刻化しています。その要因のひとつが“激務”。国会開催中に不夜城と化す霞が関の官庁街には、誰もが同情してしまうほど。そんな国家公務員の激務ぶりを、内閣人事局の資料から紐解いていきます。
平均給与40万円…国家公務員、2年連続「夏のボーナス増」も国会答弁作成で「残業終了・翌朝5時」の実態に「もうやってられない!」 (※写真はイメージです/PIXTA)

深刻化する「官僚離れ」…国会答弁作成に「朝まで残業」の実態

国家公務員というと「高給取り」というイメージがありますが、それはほんのひと握り。その構造は民間となんら変わりはありません。しかし、国家運営に関連する仕事ができるということであったり、抜群の安定性だったり、民間にはない魅力により国家公務員は人気でした。しかし、そこに異変が生じているのは、たびたび話題になるとおり。

 

2024年度の国家公務員の一般職試験の申込者数は、2万4,000人ほどで、昨年から2,000人ほどダウン。総合職試験の申込者同様に、申し込み者数は、前の年度から2000人余り少ないおよそ2万4000人で、先に公表された総合職試験の申し込み者数と同じくこれまでで最少となりました。

 

またいわゆる「キャリア官僚」となる国家公務員総合職の合格者の顔ぶれをみても、昨今は大きく様変わり。2024年度春実施試験では合格者数1,953人に対し、東大出身は189人。2012年度に現在の試験制度になって過去最少となりました。また試験倍率は7.0倍で、こちらも最低を記録。東大=官僚のイメージがありましたが、最近は国家公務員を避け、民間志向の傾向が強まっています。

 

国家公務員が避けられる理由として挙げられるのが労働環境。その象徴としてよく言われているのが、国会対応による深夜残業です。

 

内閣人事局が臨時国会会議中に行った『国会対応業務に関する実態調査』では、委員会開催ごとの最終答弁作成着手可能時刻とすべての答弁作成が完了した時刻を2パターン算出していますが、最終答弁作成着手可能時間は19時台。答弁作成が完了した時刻は、遅いパターンで29時06分。つまり翌朝の5時06分ということ。始発時間が動き出した時刻に、「やっと終わった……」となるわけです。

 

さらにせっかく大変な思いをして答弁を作成しているのに、居眠りをしている議員たちの姿をみてしまっては……「もうやってられない!」となっても仕方がない話です。

 

負担のかかる国会答弁の作成に関しては「AIの活用が有効なのでは」という話もありましたが、当時の技術では「誤植が多い」などの理由に加え、「(答弁に)血が通ってない」など少々首を傾げてしまう理由から、遅々として進んでいないよう。

 

国家公務員離れが続くと「国家の運営力が低下する」と警報を鳴らす専門家も。私たちが思っている以上に深刻な問題です。

 

[参照]

内閣官房内閣人事局『令和6年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給』

内閣官房内閣人事局『国家公務員の給与(令和6年版)』

人事院『国家公務員試験採用情報NAVI』

内閣人事局『国会対応業務に関する実態調査』