遅かれ早かれ、人は親から自立していくものですが、いい大人になっても親離れができない人たち。親のお金で生きる、ある意味「勝ち組」が、いつまでも「勝ち組」でいられるわけではないようです。
働いたら負けだろ…年金「年間160万円」の両親を頼り続ける〈57歳・無職のひとり息子〉、遊び暮らした「35年の代償」 (※写真はイメージです/PIXTA)

就職活動の同級生に嫌気…働く気を失くしてしまった男性

――働いたら負けだね

 

学生時代を振り返り、そんな強気の言葉を放っていたことを振り返る57歳男性。就職活動を経て、組織に組み込まれていく同級生の姿をみて、働くこと自体に疑問を感じたといいます。

 

男性は就職活動を一切せず、また大学を卒業してもアルバイトなどをするわけでもない。それでも毎日遊び歩いていたといいます。なぜ、そんな事ができたのか。なんでも親は会社を経営していて、自身は取締役に名を連ねていたからだとか。

 

――何もしなくても役員報酬が入るから

 

と高笑い。30代を迎えても、40代を迎えても、実家暮らしで親のすねをずっとかじり続ける男性。このような調子なので、いまでも独り身。

 

――結婚なんてしたら負けだね

 

働かず、親のすねをかじり続ける男性に、友人からは「このままでいいのか?」と諭されたこともあったといいますが、「うちは親が頑張っているから」と聞き耳を持たず。気づけは50代を迎え、60代もすぐ目の前まで迫っています。

 

ただどんなに親が経営者だからとはいえ、その親は相当、高齢のはず。いつまでも「働いたら負けだね」を実践しつづけるわけにはいかないのでは。

 

――親の会社は10年ほど前に廃業しましたよ

 

東京商工リサーチの調査によると、2023年の「休廃業・解散」企業は4万9,788件で、2000年に調査を開始以降、過去最多を更新。また休廃業企業の最終利益については、赤字企業率が47.6%に達しました。代表者年齢は「70代」が最多で42.9%。「80代以上」23.7%、「60代」が20.3%。「高齢だからこれ以上経営を続けるのは無理」と廃業を決めたのでしょうか。

 

男性の親が廃業を決めたとき、社長だった父親は77歳、母親は74歳。本当はひとり息子(=男性)に会社を継いで欲しかったようですが、「俺は働くつもりはないから」と拒否したとか。跡継ぎはおらず、今後、会社は現状維持はできたとしても成長は期待できない。しかし会社を解散したら、十分なお金は残る……こうして廃業を決めたとか。

 

現在、親の手元には3,000万円ほどの預貯金に加えて、両親の年金が月15万円ほど。これが家族3人が暮らす資金になっているとか。

 

――昔みたいに贅沢三昧とはいかないけど、働かなくても生きていけると思っていましたよ