老後不安。不透明感が強い昨今、特にお金についての不安を抱え、ムダな出費を控えなるべく貯蓄を多くしておきたいと考える方も少なくないでしょう。毎月の出費の中で「ムダなのでは?」と感じることもある保険への出費。特に日本人の死亡率一位のがんへの備えとなるがん保険について。漠然としたがんへの恐怖はあるものの、その分毎月の貯蓄に回したほうが得策という考えも。本記事では乳がんの診断を受けた41歳公務員の川原さん(仮名)の事例とともに、がん保険不要論について、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏が解説します。
がんよりも老後のほうが不安だから保険はいらない…年収520万円の41歳公務員が、1年前にがんに罹患して気がついた「意外なこと」【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

30年後だけでなくいまに目を向ける

がん保険が必要かどうか。多くの方が疑問を持つことから、インターネット上ではさまざまな意見を目にします。そんな情報のなかのひとつに、

 

がんになったら100万円の一時金を受け取れるがん保険で、月々の費用(保険料)が3,000円でお得と感じさせるがん保険も、30年払い続けると支払総額が100万円を超え、受け取れる額よりも支払う金額の方が大きくなる。しかも支払ったお金(保険料)はがんにならなければすべて掛け捨て、「だからがん保険はムダ」

 

といったものがあり、事例の川原さんもその意見を支持しがん保険加入を見送りました。当然保険は長期で加入すると、累計で大きな支払総額になる可能性はあります。『生命保険はマイホームの次に高い買い物』といった声もあるほどです。ただ保険の必要性は30年後ではなく、いま必要かどうかで考えることが大切です。

 

もしいま、がんの診断を受けてしまったときに、治療費などがんのお金に対する備えができているかどうか。できていなければどうするか、がん保険を利用するかどうか。

 

30年後にはがん保険が不要といえる資産状態を作ることも可能です。つまり最初からがん保険に30年も費用(保険料)負担をする前提を持つ必要はありません。『保険はあくまで資産(貯蓄)を作っているあいだに、その邪魔をさせないために加入する』そんな考え方もあるかと思います。

がんとがん保険の正しい知識を

がんが気になりがん保険の加入を考える人も少なくないでしょう。そしてその際にとても大切なことがあります。それはがんになってしまったときに、どのようなシナリオがあり、どのようにお金がかかるのかを知ることです。

 

そうでなければがん保険の必要性を正しく判断することはできません。そういった意味で、もし自分自身でがんを正しく理解することが難しい場合には、がんとがん保険を熟知した専門家に相談することをお勧めいたします。
 

 

谷藤 淳一

株式会社ライフヴィジョン

代表取締役