多くの人が「退職金」を頼りに、悠々自適な老後を夢見るものですが、想定通りいくとは限りません。読み違いによって想定外の老後を迎えた場合、その先にある未来とは?
私の価値は、こんなもんだったのかな…63歳元メーカー勤務の男性、〈40年のサラリーマン人生〉を振り返り絶望する「退職金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職金は2,500万円近くのはずが…大きく目論見ははずれ

――私の価値は、こんなもんだったのかな

 

サラリーマン時代を振り返り、自虐的に話す63歳の男性。学卒以来40年、大手メーカーで働き、60歳で定年退職を迎えました。いまは、週3日程度、知り合いの会社の経理を手伝い、月収は15万円ほどだといいます。

 

定年後に思い描いていたのは悠々自適な老後。しかし、現実は遠いものだったといいます。充てにしていたのは退職金。諸先輩を話からすると定年退職金は2,500万円ほどになると考えていましたが、実際に手にしたのは1,500万円と、1,000万円ほど下回る退職金。一時金として1,000万円をもらい、残りは年金としてもらう予定だといいます。この事実を知ったとき、思わず、絶望的な気持ちになったといいます。

 

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、大卒の定年退職金は平均1,896円。前回2018年調査では平均1,983万円だったので、100万円ほど減少しています。これには企業の業績不振などさまざまな要因がありますが、近年、定年退職金は減少傾向にあります。

 

同調査は2018年より前で調査対象が変わりますが、その基準に合わせた場合、2018年、大卒者の定年退職金は平均1,788万円で、5年前の2013年調査1,941万円よりも150万円近く減少。さらに2008年は平均2,280万円で、300万円近くも減少。さらに5年前の2003年は2,499万円で250万円近くも減少しました。

 

――2000年代に入ってから、成果主義が取り入れられるようになってから給与が上がりにくくなって。それも退職金額に大きな影響を与えたと思う

 

諸先輩のころは多少の幅はあったものの、基本的に年齢と共に給与はアップ。50代には1,000万円を超えるというのが当たり前だったといいます。しかし男性の場合、給与は期待していたように上がらず、最終的に年収800万円に届くか届かないかギリギリくらいでサラリーマン人生を終えることに。結果、定年退職金は大手メーカーでありながら、平均をも下回る程度になったといいます。