奨学金制度を利用する場合は、借りる段階で「返済計画」を明確に
まず、奨学金制度を利用する際には、借りる金額だけではなく、将来の返済計画も明確にしておきましょう。借りたものは必ず返済しなければなりませんし、返済するにはお金を稼がなければなりません。
大人になったら、自動車や不動産など、ローンを組んで(=お金を借りて)大きな金額の商品を購入する場面も出てきます。そのため、奨学金で早いうちからその感覚を養っておくのは大事です。
奨学金の申込時に、借入金額・返済期間・適用金利で試算し、将来返済が可能かどうか確認することをおすすめします。
また、ここで見落としてはいけないのが、給与の支給金額と手取り額の違いです。およそ15%が社会保険料の支払いに充てられ天引きされるため、その分手元に残る金額は少なくなります。
拓也さんが今後取り組める「3つ」の対策
拓也さんは今後、収支改善を行う必要があります。収支改善の基本は、「収入を増やす」、「支出を減らす」、「お金に働いてもらう」の3つです。
1.収入を増やす
拓也さんの場合、収入を増やす方法は、いまの会社でステップアップすることです。また、昇進が見込めない場合には転職を視野に入れてもいいでしょう。
2.支出を減らす
短期間で収入のアップが見込めないいま、拓也さんがまず取り組むべきは支出を減らすことです。まず現状の収支を可視化し、支出のうち必ずかかってくる固定費と、減らす余地のあるお金を分けましょう。
現在、家賃に月7万円かかっていますが、実家から勤務先に通える環境なのであれば、少し余裕が出るまでは実家から通うというのも1つの手です。
また、都内ではなくあえて関東圏の郊外に住むなど、賃料の安い物件に引っ越す方法もあります。もしも勤務先に社宅がある場合は、お金が貯まるまで利用するのもよいでしょう。
こうすることで、大幅に固定費を削減することが可能です。
また、減らす余地のある食費や日用品にかかる出費は、あらかじめ1回あたりの予算を決めておくと、支出額を抑えることができます。予算を決めておけば、スーパーやコンビニでついつい余計に買ってしまうといった“都度買い”を防ぐことができます。
3.お金に働いてもらう
こうして捻出した余剰金を使って、同時並行でお金に働いてもらいましょう。運用商品は値動きのあるもので、長期目線で増やしていく心がけが大切です。投資信託はネットで1,000円からでも運用可能ですから、まずは無理のない金額から始めてみましょう。
ただし、余剰金のほとんどをすぐに運用に回すのは危険です。人生なにが起こるかわからりませんから、「生活防衛資金」として、ある程度現預金にも置いておくことがポイントです。理想としては、毎月かかる生活費の1年分程度現預金に貯めておくといいでしょう。
とにもかくにも、まずは現状把握です。収支を可視化することで、次なにをすべきかが見えてきます。悲観せず、現実に目を向けていまできることを実行していきましょう。
中山 梨沙
FP Office株式会社
ファイナンシャルプランナー