窓からの景色、豪華な共用スペース……ステータス感が人気のタワマン。憧れを抱く人も多く、特に東京23区のタワマンは億超えもざらです。しかし、手に入れるには、地に足のついたライフプランと資金計画が必須でしょう。本記事ではIさんの事例とともに、新宿にあるタワマンにフォーカスを当て、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
自然あふれる村から上京した健気な21歳大学生「西新宿のタワマンに住みたい」…野望を抱き、性風俗店で年収1,700万円になった3年後 (※画像はイメージです/PIXTA)

三重県から上京、興味本位で始めた性風俗店の仕事

<事例>

Iさん 21歳

独身

ナイトワーク従業員

年収1,700万円

三重県生まれ

 

Iさんは新宿でナイトワークに従事する21歳の女性です。20歳からいまの仕事に就き、現在の年収は推定1,700万円。夢は「結婚してタワーマンションに住むこと」です。

 

生まれは三重県の自然あふれる村。父親と母親はいずれも公立中学校で教員をする公務員です。5歳年上の兄は愛知県の大学を卒業してから小学校の教員として正採用され、Iさん以外は全員教員という家族です。決して裕福というわけではありませんがお金のトラブルはなく、家族の情緒が安定した生活環境でした。新築の戸建てに住み、年に一度は大きな旅行にも行けました。両親が多忙で帰りが遅いことを除けば、Iさんは非行に走るような環境ではありません。

 

Iさんは高校を卒業してから大学進学のために東京都内に上京。両親や兄と同じように、地元に戻り教員になるものと思い込んでいました。しかし大学生活は退屈そのもの。高校と同じく優等生ばかりいて、会話の内容は早くも就職活動のことばかり。あるいはネットで仕入れた資産運用や起業の知識をひけらかして盛り上がっている様子は子供にしか見えませんでした。大学1年生の夏から次第に大学に足が向かなくなり、ファミレスでのアルバイトに励む状態に。

 

やがて、容姿に恵まれたIさんはアルバイト仲間の女性からある仕事を誘われます。それはナイトワークでした。もっと正確にいうと、性風俗店です。

 

「面白そう」Iさんは言葉の響きに好奇心をそそられてしまいました。

 

Iさんはなぜか「東京で」「風俗店」という2つの単語に、心の奥でぐっとくるなにかを感じてしまったといいます。三重県の田舎町で平凡な家庭に育ち、日ごろ感じていた退屈さを吹き飛ばすような魅力的な響きでした。好奇心から始めたその世界がIさんの性格にあっているのか、収入は順調に伸びていきました。

 

大学は中退。突然の退学希望に母親は激怒しましたが、ついに折れて退学の書類にサイン。今後仕送りはしないといわれてしまいました。そこから本格的に仕事にのめりこみ、初年度の年収で1,500万円+客からのチップで推定1,700万円ほどになっていたようです。

 

しかし確定申告はしていませんでした。その知識すらなかったのです。