窓からの景色、豪華な共用スペース……ステータス感が人気のタワマン。憧れを抱く人も多く、特に東京23区のタワマンは億超えもざらです。しかし、手に入れるには、地に足のついたライフプランと資金計画が必須でしょう。本記事ではIさんの事例とともに、新宿にあるタワマンにフォーカスを当て、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
自然あふれる村から上京した健気な21歳大学生「西新宿のタワマンに住みたい」…野望を抱き、性風俗店で年収1,700万円になった3年後 (※画像はイメージです/PIXTA)

Iさんが抱いた野望

当初は学生時代のアパートに住んでいましたが、性風俗店で働き始めてまもなく、Iさんは次第に野望を持つように。

 

「タワーマンションが欲しい」マンションの分譲と賃貸の差さえ知りませんでしたが、とりあえず機会があってFPに相談することになりました。

 

まだ幼いものの夢を持つIさんでしたが「タワーマンションって、いくらで買えるんですか」とFPに質問するIさん。

 

「希望の立地で新築または築浅なら1億円以上は必ずします」

 

「私でもお金貯めれば買えますか」

 

Iさんにとっては少し頑張れば1億円を貯められるのではないかと考えたようです。しかし、無申告のお金を1億円貯めたところで、それを使ったとたんに税務署の調査が入るでしょう。脱税したお金で家は買えないのです。

 

「住宅ローンならどうですか? 買えますか?」とIさんは諦めずに続けます。

 

確定申告もしていない風俗店従業員では、銀行はお金を貸してくれません。現時点ではいくらお金を稼いでいても無職の扱いなのです。健康保険証もまだ親の扶養に入っている状態です。

 

「そうなんですか……。お客さんが年収1,000万円で、奥さんと収入を合わせてタワーマンションを買ったと自慢していたので、私でも買えるのかと思いました」

 

しかし、Iさんは「結婚して西新宿のタワーマンションに住みたい」という夢を強く持っているようでした。ネットでしか見たことがありませんが、タワーマンションから見る都心の夜景を自分のものにできるのは、いかにも東京で成功したという感じがあるからだといいます。

 

かなり幼い印象のIさんが、年齢に不釣り合いな年収と都心のタワーマンションという派手な目標を持つのが危うげでFPから見て心配しかありませんでしたが、夢を持つことが素晴らしいことです。実現する手段がないわけではありません。Iさんがタワーマンションを手に入れるためには、

 

・確定申告をし、脱税をしない

・手取りから貯蓄する

・5,000万円をためる

・正社員として就職をする

・結婚したら残り5,000万円を夫とペアローンで借りる

 

維持費や家計の収支の問題は多々ありますが、タワーマンションを手に入れるだけであればそれだけで十分のはずです。20代のうちには実現するでしょう。税理士を紹介する約束をしてその場は終わったのですが……。