2024年6月から始まった「定額減税」では、1人当たり所得税3万円、住民税1万円の計4万円が減税されます。この定額減税は、ふるさと納税の寄付額に影響があるのでしょうか。さらに、来年2025年10月から「ポータルサイトでのポイント付与禁止」が発表されました。その影響や各自治体の取り組みなど、最新情報を村井美則FPが解説します。
ふるさと納税、「定額減税」の影響は?ポータルサイトでの「ポイント付与禁止」?いま知りたい最新情報をマルっとお伝え【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ポータルサイト各社の反応と巨大プラットフォームの参入

こうした総務省の「ポイント付与禁止」の告示に対して、ふるさと納税のポータルサイト各社も動きを見せています。

 

「楽天市場」を運営する楽天グループ株式会社は、ポイントの原資は自社で負担しているとして、「地方自治体と民間の協力、連携体制を否定するものであり、地方の活性化という政府の方針にも大きく矛盾している」と反対の署名活動を開始しました。

 

一方、「ふるなび」を運営する株式会社アイモバイルは「本制度の設立趣旨に則り、定められたガイドラインに沿った適切な運用を行う」としています。また、「ふるさとチョイス」を運営する株式会社チェンジホールディングスは「ポイント還元合戦の様相を呈している市場において、現在ポイント付与を軸とした寄付募集のプロモーションはすでに行っていない」と示すなど、各社様々な反応をしています。

 

また、2025年春にはネット通販大手の巨大プラットフォーム「Amazon」が参入の調整にはいったという報道もあり、2025年9月まではポイント付与など寄付者に対してのインセンティブ合戦は続く可能性があります。 さらに、2025年10月からはポイント付与禁止だけでなく「返礼品等を強調した寄付者を誘引するための宣伝広告を禁止」するため、ポータルサイト側の集客方法が変容してくる可能性があります。

 

ポータルサイトに頼らない自治体の独自の取り組み

そんな中で、自治体はポータルサイトに頼らない取り組みを始めています。

 

例えば、長野県は2023年4月から大手サイトや返礼品に頼らない、県直営共創型のふるさと納税受付サイト「ガチなが」を開設しました。「生まれ育ったふるさとや応援したい地域に貢献したい」と、ふるさと納税制度の本来の趣旨に沿って、クラウドファンディング型での雷鳥保護の呼びかけや信州学び応援寄付金など、昨年度だけでも約1億1,800万円以上寄付がありました。「ガチなが」であれば経費を大幅に抑えられ、ほとんどの寄付金を行政サービスに使えるとして、プロジェクト告知に力を入れています。

 

その他の自治体も税収を増やすべく、イベントやNFTを使ったアートなど、独自の返礼品や取り組みで、ふるさと納税を活用した地方創生に力をいれています。

 

また、複数の自治体への寄附を一元化管理する「自治体マイページ」(株式会社シフトセブンコンサルティング提供)が、2022年申請分からサービスを開始しています。こちらはデジタルの恩恵を感じられる市場作りを官民で協力して進めていくとして、デジタル庁ホームページ内にも紹介されています。

 

サービスの内容としては「寄付情報の確認」「オンラインでのワンストップ特例申請」「各種情報の変更」「寄付金証明書XMLデータのダウンロード」「ワンストップ受付済書のダウンロード」とさまざまな手続きが可能です。マイナポータルアプリを利用し、すでにアカウント登録数340万件、利用自治体1,126(2024年7月現在)と、拡大してきました。

 

デジタル庁は内閣の統轄の下ではありますが、総務省の取組である自治体DX推進体制に協力していることもあり、今後自治体の返礼品の一括検索を可能にする共通システムの構築を民間に受託し、自治体の経費縮減をする日がくるとも限りません。そのため、この先の動向を注視していきたいところです。

 

現時点においては、ポイント付与禁止は来年10月施行ですので、今年のふるさと納税はポイント還元があります。これを機に気になる自治体や故郷のホームページにアクセスして、自治体独自の支援などをチェックしてみてもいいでしょう。

 

 

 

村井 美則

ファイナンシャルプランナー