サラリーマンではなくなったときに孤立する人たち
60歳で定年を迎えた後は、雇用延長で65歳まで働き、そのあとは関連会社で再就職。社内規定で70歳で退職となったそうです。
大手企業の部長職を勤め、最高年収は1,500万円。定年後も70歳までサラリーマンを続行。独身で派手な趣味もなし。そのため、十分すぎるお金だけはありました。しかし大学を卒業後、仕事に邁進していたため学生時代の友人とは疎遠となり、サラリーマン時代に親しくなった同僚もなし。70代でサラリーマンでなくなったときに、男性はいかに孤独であるかを知ったといいます。
内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)』によると、40~69歳の外出頻度が低い回答者に対して「あなたの外出状況が現在の状態になったもっとも大きな理由は何ですか」と尋ねたところ、「退職したこと」が最も多く32.3%。男女で比べると、男性のほうが退職を理由に選ぶ割合が多く(38.6%)、また年齢があがるほど同様の傾向がみられます(「65~69歳」で46.3%)。会社という繋がりがなくなると、社会との接点がなくなり、引きこもり気味になってしまう……よくあるパターンのようです。
男性の場合も、70歳で仕事を完全に辞めてからは、ほとんど外にも出ない毎日が続いたそうです。
――ひとりでも平気ならいいのですが、わたしは「寂しい」と思うタイプの人間のようで
「こんな生活も限界だ……」と感じた男性は、この状況を打破しようと老人ホームへの入所を決意したといいます。そして入所初日。何年振りかに人と食事をする、まともに話すということがあまりにも嬉しかった……というのが涙の理由だったのです。
高齢化が進むなか、社会から孤立する高齢者が問題になっていますが、老人ホームがひとつの解決策になるかもしれません。
[参照]
アート引越センター株式会社/0123引越文化研究所『転勤実態アンケート2023』