綿密にシミュレーションしたはずなのに…「老人ホーム費用」が払えなくなる理由、3つ
地方在住、58歳の男性。83歳になる母は、3年前から老人ホームに入居しているとか。入居一時金、1,500万円は貯蓄から。月額費用は15万円ほどでしたが、母の年金は月17万円、手取りにすると月15万円ほどだったので、トントンといったところ。綿密なシミュレーションのもと、「問題なし」と判断し、入居を決めたといいます。
しかし、ある日、老人ホームからの請求額に言葉を失ったといいます。あまりの衝撃に、明細を二度見したほど。その後も母の年金では足りない状況が続き、長男である男性が補填。そんな状態が1年近く続いているといいます。
――この調子だと、私たち夫婦の老後が危ういです
このように、綿密なシミュレーションのもと「大丈夫、老人ホーム費用、問題ない」と判断しても、実際に老人ホームからの想定外の請求額に驚愕。最悪の場合、老人ホーム費用を払えず、退去せざるを得ないというケースも珍しくないようです。
老人ホーム費用の想定外。これにはいくつかのパターンがあります。
1)「月額費用に含まれていない費用」に驚愕
前出の通り、月額費用にはホームによって含まれているものはまちまち。おむつ代などの日常品は通常含まれておらず、使用した分だけ請求されることが一般的です。またレクリエーションに関しても、参加した分だけ請求されるということも。そのような費用が積み重なって、予算オーバーというのがよくあるパターン。月額費用のほか、平均3万~5万円程度かかるのが一般的です。
2)「物価高対応で費用値上げ」に驚愕
昨今の物価高は、老人ホーム費用にも影響を与えています。株式会社TRデータテクノロジーによる調査によると、2023年8月調査時点、月額費の値上げを行った法人は全体の26%。管理費の平均値上げ率は21.5%、食費は10.1%。また2022年12月調査との比較では、値上げ額・値上げ率共に増加したといいます。物価高と共に、月額費用のアテにしていた年金も増えれば問題ありませんがそうはいかず、費用負担増となるケースが増えています。
3)「運営元変更。料金形態も変更」に驚愕
民間企業の運営の場合、会社が破綻……というケースもゼロではありません。通常は運営元が変わり、施設を転居する必要は生じません。費用もそのまま引継がれるケースが多いですが、一定期間経ったあとは、価格改定がある場合も。その際、想定以上の値上げになると、老人ホーム費用が払えないという事態に陥るでしょう。
終の棲家になることも見据えて入居を決めることが多い老人ホーム。ただ想定外のことが起きることは珍しいことではなく、それが費用にまつわることも。老人ホーム、1度入居したら安心というわけではないことは、知っておいたほうがいいでしょう。
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