高齢化、長寿化に伴い、法改正。高齢者になっても働き続けられる環境整備が進んでいます。しかし、高齢者の「働きたい」という思いと現実には、大きな差があるようです。みていきましょう。
〈退職金2,500万円〉〈月収30万円〉65歳のサラリーマン、再雇用終了も「働きたい」と懇願…ハローワークで直面する厳しい現実に撃沈 (※写真はイメージです/PIXTA)

「仕事なんてすぐに見つかる」と思っていた再雇用終了男性の勘違い

再雇用終了後も働き続けたいという男性。退職金やこれまでの給与、そしてこれからもらえる年金を見る限り、働き続けなくても余裕のように思えますが……なぜ?

 

――住宅ローンを完済したくて、退職金と貯蓄を使いました。老後は予期せぬこともありますよね。70歳くらいまでは働いて、貯蓄を増やしていかないと、とても安心できません

 

65歳を超えてもなお働いている人が周囲に多かったことも、再雇用終了後も働こうと考えたきっかけのひとつ。ただ想定外だったことが……。

 

――すぐに仕事がみつかると思ったんですけど

 

シニア向けの求人サイトを通じて仕事を探したものの不採用が続いたという男性。「ハローワークに行けば」と思い行ってみましたが、考えが甘かったといいます。

 

――警備とか、建設とか。そういう仕事は多いんですけど、事務はかなりの倍率で

 

男性はこれまでの経験を生かせるよう、事務職を希望しましたが、競争が激しい現実を知りました。厚生労働省東京労働局の資料によると、今年3月の求人倍率をみていくと、60歳以上で職業全体で0.6倍。倍率1.0倍を超えるのは、「保安職業従事者」3.58倍、「建設・採掘従事者」3.39倍、「サービス職業従事者」1.62倍。男性が希望する「事務従事者」の有効求人倍率は0.21倍で、かなりの競争率。

 

高齢者でも働ける環境は整いつつあるものの、仕事は限られてしまう現状。現役時代のように「キャリアを活かす」という選択はかなり厳しいようです。高齢者になっても働きたいなら「どんな仕事でもやってやる!」というガッツが必要なようです。

 

[参照]

厚生労働省『令和5年高年齢者雇用状況の集計結果』

総務省『労働力調査』

厚生労働省東京労働局『関東市場圏有効求人・有効求職年齢別バランスシート』