夫婦10組に1組…少子化で増加「子のない夫婦」
厚生労働省によると、2023年に生まれた子どもの数は、速報値75万8,631人。これは外国人なども含めた速報値で、出生数が減少するのは8年連続。統計開始以降、過去最少数になりました。一方、国立社会保障・人口問題研究所による人口予測では、日本人の出生数が76万人を下回るのは2035年としており、10年以上も早く少子化が進んでいることになります。
日本人が子どもを持たなくなった理由はさまざまですが、少子化に伴い「子のいない夫婦」は増加傾向にあります。国立社会保障・人口問題研究所『出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)』で、妻の年齢「45~49歳」夫婦における子どもの数についてみていくと、2021年調査では「4人以上」が1.9%、「3人」が16.0%、「2人」が最多で52.8%、「1人」が19.4%、「0人」が9.9%。夫婦10組に1組は「子どもがいない」という水準です。
さらに「子ども0人」の割合を時間軸でみていくと、「1977年」3.5%→「1982年」3.6%→「1987年」3.1%→「1992年」3.8%→「1997年」3.3%→「2002年」4.2%→「2005年」5.7%→「2010年」7.5%→「2015年」9.9%→「2021年」9.9%と推移。2000年より前では多少の増減はあるものの、3%代で推移。それが2000年代に入ると一転、上昇基調となっています。
日本が失い続けた30年。子をもつには経済的に不安定であることに加え、女性の社会進出も進み、子をもつだけが選択肢ではないことが広まったことも要因でしょうか。今後も「子のいない夫婦」は増加していくというのが、大方の見方です。
そんな子のいない夫婦。経済的に余裕があり、老後の安泰も確定というケースが多いようです。ただ子どものいない夫婦だから気をつけたいことがあります。夫66歳、妻65歳という、子どものいない夫婦を例にみていきましょう。
夫は定年年齢の引上げにより、65歳定年退職。3,000万円の退職金を手に現役を引退。妻も1年遅れで仕事から完全引退し、夫婦ともに年金生活に突入したといいます。年金は夫婦で月38万円。現役時代からは大きく収入は減りましたが、夫婦二人が暮らしていくには十分。将来、困らないほどの貯蓄もあり、そこに十分すぎる夫の退職金。夫婦水入らずの穏やかな老後が約束されていたといいます。