年金の受給開始時期を遅らせることにより、受給額を増やせる「年金の繰下げ受給」。上限年齢は現状75歳で、長生きリスクへの予防にも繋がります。しかし、近ごろ話題の新NISA制度の登場により、請求してから後悔する人もいるようで……。本記事では、Aさんの事例とともに年金繰下げと高齢期の資産運用について、CFPの伊藤貴徳氏が解説します。
しまった、年金繰下げしなきゃよかった…70歳会社員、5年後には「年金28万円」も〈新NISA〉登場で大後悔のワケ【CFPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

運用するなら新NISA制度は積極的に活用を

将来の大切な生活費となる年金。できることなら効率的に増やしていきたいと誰もが思うはずです。今回、Aさんの思惑は外れましたが、年金の一部を運用に充て、将来のために準備するという方法は効果的であるように思います。

 

新NISAは、長期で続けることで効果的な運用と着実な資産形成が見込めます。利益が非課税となるのは運用面で大きなメリットですし、新NISAとなってから非課税期間が無期限となったのも長期的な資産形成に大きなプラスとなりました。

 

ただ、いい面に目が行きがちですが、リスクについてもしっかり理解を深めたうえで自分に合った運用方法を探していただけたらと思います。

 

年金繰下げと新NISAのそれぞれの特徴と注意点

年金繰下げについて
・1ヵ月繰り下げるごとに0.7%が増額。最大10年の繰下げで84%の増額が見込める
・増額率は固定
・繰下げ中は年金を受け取れない

新NISA(つみたて投資枠)について
・株式や投資信託等、自分で金融商品を選んで運用
・運用益は非課税
・つみたて額は月10万円が上限
・元本保障されていない(運用成果は自己責任)

 

 

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス

代表