介護の限界を迎えた51歳女性・Aさん
Aさん(51歳・女性)は現在、父(81歳)と2人で暮らしています。父は現在、認知症を発症し要介護3と認定。Aさんの母が6年前に他界したころから父の体調に変化が生じ、認知症の症状が出るようになったのでした。以前は1人で実家の近くのアパートを借りていたものの、母が亡くなった直後に父を心配し、実家へ戻ってきたのです。
・Aさん:51歳(正社員:事務職)月収29万円
・父:81歳(年金月16万円)
・母は病で6年前に他界。その後父の認知症が発症、徐々に悪化
・父は認知症と診断され要介護3の状態
はじめは軽い物忘れや気分の浮き沈みがあるなどの状態でしたが、次第に他界したはずの母がまだ健在であるかのように家のなかを探し回ったり、夜中に家を抜け出し徘徊をしたりと症状が進んでいきました。
Aさんは仕事を続けながら献身的に父の介護を続けていました。仕事にいかなくてはいけない日中はデイサービスを活用し、休日は自身で世話を行いました。職場の理解もあり、勤務時間を多少調整してもらいながらなんとか介護を続けてきました。
「お父さんは仕事人間だったから、1人じゃなにもできないの。大変かもしれないけれど、あとのことはよろしくね」
そんな生前の母の言葉をずっと胸に刻み、1人きりで奮闘していたのでした。しかし、父の介護を続けて5年目に差し掛かったころ、認知症の進行につれ介護が厳しい状態となります。父の世話に費やす時間が増え、仕事や日常生活にも支障をきたすようになってきました。
物で散らかったリビング、洗い物の溜まったキッチン……。見えない介護生活の終わり。「頑張るって誓ったけれど、お母さんごめんなさい。もう無理かもしれない……」
Aさんの心は限界を迎えていました。ついに、父を介護施設に入所させることを決意します。