生涯未婚率。これは50歳時点の未婚率で、この先、結婚に至るケースはわずかなので、「≒一生結婚しない人」としてカウントされます。日本人の生涯未婚率は近年上昇傾向が続いており、男性で3割弱、女性で2割弱。そして親と同居する未婚者は7割水準が続いています。親と同居する理由はさまざまですが、残念な理由のケースもあるようで……みていきましょう。
銀行員「申し訳ありませんが、ご利用できません」…年金18万円・88歳の母を頼りに悠々自適な57歳のフリーター息子、残念すぎる顛末 (※写真はイメージです/PIXTA)

57歳のフリーター、母の逝去で生活苦に…頼ったのは

母は父の遺族年金と合わせて月20万円ほど。これまで以上に働かなくなったという男性。

 

――お母さんがいなくなったら、どうやって生きていくの?

 

そう妹から諭されてもどこ吹く風だったとか。しかし、母が亡くなったことで状況は一転します。頼りにしていた母の年金はゼロ。晩年、何かと医療費・介護費がかかったため、貯蓄もほぼゼロ。遺産は母と兄が暮らしてきた実家だけ、という状況でした。

 

遺産分割には、相続財産をそのままの状態で分ける「現物分割」、相続財産を換価(現金化)して、その現金を相続人間で分配する「換価分割」。相続人の一人が価値の高い不動産等を現物で取得した場合、他の相続人に対して代償金(現金)を支払うことにより、各自が相続分に見合った財産を取得できるよう調整する「代償分割」と、大きく3つ。どの方法で遺産分割したとしても、相続人である妹の承諾が必要です。妹は実家を売ることだけは反対でした。

 

――もし実家を売ったら、兄は売ったお金をすぐにゼロにしてしまうだろう

――生きていけなくなったら、今度は私(妹)が面倒みることに

――そんなことは絶対にイヤ、許せない

 

「兄は実家に住み続ければいい。ただ生活費くらいは自分で稼げ!」というのが妹の考え。そのため、絶対に実家を売ることには反対だったのです。

 

生活費が足りない男性。そこで頼ったのが銀行のカードローンでした。ただ、当然ともいうべきか、安定した収入のない男性は「申し訳ありませんが、ご利用できません」と銀行で門前払い。しかも一度に複数のカードローンに申し込んだため、「申し込みブラック」状態となり、どこも審査落ちに。

 

――真面目に働くしかないのか……

 

なんとも当たり前のことを言って、さらに妹を呆れさせたといいます。

 

銀行ローンは目的ローンと比べて金利は高めですが、消費者金融カードローンと比べると上限金利は低め。利用限度額の範囲で自由に借入ができます。基本的に安定的な収入があることが前提ですが、収入があったとしても男性のように一度に複数のカードローンに同時申込みをすると、審査に通らないといわれています。カードローンの申込情報は信用情報機関に登録され審査の際に紹介。複数のカードローンに申し込みをしているということは多重債務者になるリスクがあり、またそもそも審査に通る自信があれば、複数のカードローンに申し込みはしません。そのため審査落ちになってしまうのです。

 

多重債務は男性のようにお金にだらしない人がなるイメージですが、重債務相談者が借金をしたきっかけ でもっとも多いのは、低収入や収入の減少により、 生活費や教育費などを補うためであることが明らかになっています。万一、返済が困難になったときには、消費生活センターなど、然るべき相談機関への相談が第一歩です。

 

[参考資料]

総務省『令和2年国勢調査』

法テラス『遺産分割の方法(遺産の分け方)には、どのようなものがありますか。』

金融庁『多重債務者対策をめぐる現状及び施策の動向』