ひとり暮らしの70代父、相続が発生したら実家は…
実家の状態はそれぞれで、いい話ばかりではない……「建物が古くて、資産価値もほとんどないと思うんです」というのは40代女性。ひとり暮らしの父は70代後半で、終活の話も最近はチラホラ。実家の相続についても話が及んだといいます。女性に兄弟姉妹はなし。万が一の場合は、遺産のすべてが女性に相続されます。
――とはいっても、遺産と呼べるものは実家くらいしかない
――父は「この家(実家)だけでも残すことができるから良かった」と言っているけど
――私も持ち家なので、自分たちが住むということはない
――建物は古く相続しても大変そう
最近は空き家対策が強化され管理不足だと罰則もありえます。そこで今後は実家の解体も視野に相続を考えるべき、という専門家も。
国土交通省『建築物滅失統計調査』によると、住宅の除去件数は、令和4年度で10万4,796件。過去をみても、「平成30年度」10万8,435件→「令和元年度」10万3,765件→「令和2年度」9万6,780件→「令和3年度」10万7,272件と、だいたい10万件前後で住宅は解体。空き家対策強化により、今後、その数は増えていくといわれているのです。
40代女性の夫は年収500万円ほど。女性の収入と合わせると700万円弱だとか。住宅ローン返済の負担もなかなかのものというので、プラスになるのであれば実家は残して……というのが本音でしょうか。ただ住むことのない実家、しかも築年数が古い。「古家付き土地」は価格が相場より低くなったり、買い手が付きにくい場合が多く、解体も視野にいれなければなりません。
しかしそこにも昨今の物価高の影響が。国土交通省の資料によると、1坪あたりの解体費用は関東で3.7万円。50坪であれば175万円ほどかかります。ただこれは5年ほど前の資料によるもの。昨今の相場は、この2倍以上になっているとか。「実家の解体費用」>「土地の売却額」となり、実家を相続したほうがマイナスというケースも。
女性の場合も、いろいろと考えていけばいくほど、実家を相続した際にマイナスになる公算が高くなってきたといいます。
――お父さん、実家は生きているうちに取り壊してくれるかな(または解体費用を用意しておいて)
もちろん、そう直接的に伝えるわけではありませんが、遠回しに「実家をそのまま相続されても困る」と必死に訴えているといいます。
[参考資料]