高齢化の進行とともに、希望すればいつまでも働けるような環境が整いつつありますが、本音を言えば働かずに、悠々自適な生活を送りたいと誰もが思うもの。しかし、いつまで働けばいいのか終わりがみえない人も。みていきましょう。
もう疲れました…〈月収28万円〉63歳の再雇用サラリーマン、91歳の母に抱く「どす黒い感情」 (※写真はイメージです/PIXTA)

60歳定年を越えたが…「何歳まで働くか?」

定年=60歳という認識が強いですが、1985年に60歳定年を努力義務とするまでは定年といえば55歳でした。1998年に60歳定年が義務化され、その後、2013年には65歳までの継続雇用の義務化。現在は70歳までの雇用確保が努力義務に。私たちは「何歳まで働くか」、ある程度、自分の都合で決められるようになったわけです。

 

実際、高齢者の就業率は増加の一途を辿っています。主な理由は老後不安。長寿化のなかで、「いつまで生きられるか分からない」→「いつまでお金がもつか分からない」となり、「働けるまで働かなくては」となっているわけです。ただ本音をいえば、「働かなくてもいいなら働きたいくない」が多くの人の想いかも。

 

株式会社パーソル総合研究所が行った『働く1万人の就業・成長定点調査』によると、「55~59歳」就業者のうち「71歳以上まで働きたい」と回答したのは、2017年~2023年で約15%と横ばい。また「60~64歳就業者」に聞いた場合には、約20%弱と、こちらも横ばい。さらに「65~69歳」では約40%で横ばい。

 

高齢者でも働ける環境は年々整いつつあるものの、高齢者になっても働きたいという意欲が高まっているとは言い難く、仕方がなく働いているという想いが強いようです。

 

63歳の独身男性も働かざるを得ないので働いている、というひとり。60歳になる半年前というタイミングで、再雇用の意向を聞かれたといいます。

 

・契約社員としての再雇用

・給与は、月収45万円→月収28万円、年収ベースで4割減

 

といったもの。はっきりいって大きく給与が減ってはモチベーションが保てないと思いましたが、男性は働かざるを得ない状況にありました。それは同居する91歳の母の存在です。

 

男性が50歳になった年、78歳の母は病気の影響で右半身に麻痺が残り要介護認定。そこから自宅介護がスタートしたといいます。