人気の制度として知られる新NISAとiDeCo。この2つを始めていることで、老後資金対策は万全だと思っていた佐々木さん夫婦(仮名)。世帯年収も1,000万円以上で一見何の問題もなさそうです。しかし、ライフプランを作成してみると……実際に足りないのはまさかの「教育資金などの現役時代のお金」でした。本記事では、佐々木さんの事例を紹介しながら、FPの金子舞氏がその解決策を提案します。
「えっ、足りないんですか?」新NISA+iDeCoで万全だった世帯年収1,000万円・30代公務員夫婦が直面した落とし穴【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

老後資金は大丈夫でも、現役時代のお金が足りない…

佐々木さんは夫婦とも公務員で、退職金は合計3,000万円もらえる試算。また夫婦とも仕事が好きで、65歳まで再雇用で働く予定です。そのため老後は一般家庭と比べ余裕があることも大きな特徴でした。

 

しかし、健康診断で思わぬ事実がわかるのと同様に、お金についてもライフプランを作って初めてわかる事実があります。佐々木さん夫婦のように資産形成をしっかり考えている方ほど見落としてしまうのが、直近10年間のお金。特に、子育て世代の方ほど、教育費や住宅費に気をつけなくてはいけません。

 

現役時代にお金が足りない理由

佐々木さんの長女(小4)の教育費についてうかがったところ、中学受験にむけて塾に行きはじめたところ。今後、もっと教育費がかかることは覚悟されていましたが、世帯年収が1,000万円あるため、共働きで頑張れば大丈夫と思っていたようです。

 

ところが、ライフプランを見てみると、姉弟の入学が重なるタイミングもある中で、5年前に購入した住宅ローンの返済とあわせると、3年後から長男が大学を卒業するまで約12年間、下記の通り収支がマイナスとなることがわかりました。

 

そこで現役時代12年間にわたる収支マイナスを改善するために、佐々木さん夫婦の家計全体を見直し、お金の置き場所を意識したアドバイスを提案しました。

 

【世帯収入】
1,060万円(手取り約823万円)

 

【貯蓄額】
約800万円

 

【3年後に予定されている支出(年間)】
・姉の教育資金(入学金、授業料、塾代等)200万円
・弟の教育資金(授業料、塾代等)80万円(私立中受験予定)
・住宅ローン 120万
・生活費 300万円
・保険料 132万円
・投資(新NISA+iDeCo)約100万円
・その他支出 165万円

 

【3年後に不足する金額】
おおよそ316万円(弟が大学卒業まで毎年100~420万円不足)