公的年金に“上乗せ”できる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」

老齢年金は、通常65歳から満額で支給されます。また会社員や公務員は、老齢基礎年金とあわせて老齢厚生年金が受給できます。

さらに勤務先によっては、企業が掛金を拠出する「確定給付年金(DB)」や、企業が拠出する一定額を従業員が運用し、その成果しだいで給付額が増減する「企業型確定拠出年金(企業型DC)」といった企業年金も受給可能です。

このほか、公的年金に上乗せして活用できる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」といった制度もあります。iDeCoの加入年齢は、自営業者や専業主婦など(国民年金の第1・3号被保険者)は60歳まで、会社員・公務員など(第2号被保険者)は、65歳までです。ただし法改正があり、2022年5月以降、第1・第3号被保険者であっても、60歳以降国民年金に任意加入すれば65歳までiDeCoに加入可能となりました。

50歳までに加入していれば60歳から受け取ることができますが、50歳以降に加入するとその加入期間に応じて受給開始年齢は引き上げられます。ただし、75歳を過ぎてから受け取ることはできません。

iDeCoには、下記のような税制優遇があります。

1.掛金全額が所得控除される。

2.運用中に増える利益(運用益・20.315%の課税)が非課税。

3.一時金で受け取るときは、退職金と同様に退職所得控除が適用される。また、年金で受け取るときは、公的年金等に係る雑所得控除が適用される。

iDeCoのイマ

iDeCoの掛金は5,000円以上となっていますが、限度額は国民年金の被保険者ごとに異なります。

出所:国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」を参考に筆者が作成 ※1 国民年金基金または国民年金付加保険料と合算して毎月6万8,000円まで。 ※2 企業型確定拠出年金(企業型DC)のみに加入するときの掛金の上限は、月額5.5万円から毎月の企業型DCの事業主掛金を引いた額まで。ただし月額2万円が上限。 ※3 企業型DCと確定給付年金に加入するときの掛金の上限は、月額2.75万円から毎月の企業型DCの事業主掛金を引いた額まで。ただし月額1.2万円が上限。また、確定給付年金のみも月額1.2万円まで。確定給付年金とは、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済をいう。 ※4 国民年金任意加入者を含む。 ※5 第2号被保険者の被扶養配偶者(専業主婦、パートなど)。
[図表1]iDeCoの毎月の掛金限度

また、今年1月時点でのiDeCoの加入者数と毎月の平均掛金は[図表2]のとおりです。

出所:iDeCo公式サイト「(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(2024年1月)」を参考に筆者が作成 ※ 国民年金の任意加入被保険者のこと。
[図表2]iDeCo毎月定額拠出の加入者と毎月の平均掛金(年単位拠出加入者は除く

[図表2]出所:iDeCo公式サイト「(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(2024年1月)」を参考に筆者が作成。※ 第4号加入者とは、国民年金の任意加入被保険者のこと。