現在、日本の大学進学率は約57.7%で過去最高となるなか、なんらかの奨学金を利用している大学生の割合は約55.0%と、こちらも過去最高となっています(文部科学省「令和5年度学校基本統計」より)。そこで今回、具体的な事例を通じて、教育費の工面に苦労する家庭を救う“救済制度”をみていきましょう。2人の子どもを私立中学に通わせる石川亜希子AFPが解説します。
手取り月48万円も、職場には毎日お弁当と水筒を持参…3人の子をもつ40代共働き夫婦、もうすぐ始まる“日本の救済制度”に「手をあわせて拝みたい」【FPが解説】
なかなか貯金が増えない…3人の子を育てるA夫婦の「悩み」
大学4年間の学費の総額は、国公立大学が約250万円、私立大学(文系)は約400万円、私立大学(理系)は約540万円ともいわれています。皆さんはお子さんの大学進学費用について、どのように準備していますか?
首都圏の主要都市で暮らすAさん(47歳)は、妻のBさん(46歳)と子ども3人の5人家族です。子どもはそれぞれ長女が高校1年生、長男:中学1年生、次女:小学4年生で、世帯年収は約800万円(夫500万円、妻300万円)。月々の手取り額に直すと、夫婦合わせて48万円ほどです。
A夫婦は「子どもたちがお金を理由に夢を諦るなんて、そんなことあってはならない」という考えから、お小遣いは夫婦ともに最低限にし、職場には毎日お弁当と水筒を持参するなど、節約に励んでいます。
総務省の令和6年家計調査によると、家族5人の平均の生活費は約36万円となっています。しかし、ここに住宅ローンの返済分は含まれていません。
A夫婦は、住宅ローンをはじめとした固定費に加えて毎月のように発生するイレギュラーな出費のせいで、なかなか貯金を増やせない状況が続いています。
子どもたちの大学進学費用はコツコツ積み立ててはいますが、3人分の費用にはとうてい足りず「できれば奨学金を利用せずに済ませたいが、このままでは難しいかもしれない」と、夫婦は不安な気持ちを抱えていました。
そんなA家に、明るいニュースが飛び込んできます。
A夫婦が歓喜した“吉報”
1.「児童手当」の拡充
1つは、令和6(2024)年10月から国の「児童手当」制度が拡充されたことです。
これまでは中学生以下が支給対象でしたが、今回、高校生年代も支給対象となったことと、第3子以降の支給額が月3万円となったことで、A家には月額5万円が支給されることになりました。また、所得制限もありません。進学費用として貯めておけば、まとまった金額になります。
