「乳製品」=認知症になりにくい

「たんぱく質」は健康長寿の鍵となります。

日本では今、85歳以上の男性の17.2%、女性は27.9%が低栄養状態であり、筋肉の衰えたフレイルの状態になりやすいと言われています。それが健康寿命を損なうことにつながるのですが、その大きな原因がたんぱく質摂取の少なさです。

血液の中のたんぱく質量を表す血清アルブミン値の多い人から少ない人までを4群に分けて、追跡した調査では、アルブミンの少ない人ほど早く亡くなり、アルブミンの多い人は長く生存したという結果が出ています。

乳製品は手軽なたんぱく質源となりますが、実は、中でも、ヨーグルトはアルブミン値が上がりやすいことが判明しています。

牛乳に粘り気をつけたプラセボ群と比べると、ヨーグルトのほうが、発酵して吸収されやすいのか、アルブミン値がよく上がりました。

また、乳製品の摂取が認知機能をよくするというデータもあります。

九州大学が福岡市に隣接した糟屋郡久山町(人口約9,000人)の住民を対象に1961年から追跡調査した久山町研究では、乳製品を多く摂る人ほど認知症になりにくいということが分かっています。

60歳以上の男女1,081名を対象とし、乳製品の摂取量を多い方から少ない方まで4群に分けて調査したところ、アルツハイマー病は、乳製品の摂取が少ない群を100%とすると、乳製品摂取の一番多い群で63%、血管性認知症(脳卒中が原因で起こることが多い)では69%という低い発症率でした。

また、大豆、魚や海藻、野菜、乳製品を多く摂っているグループは、そうでないグループに比べて認知症の割合が6割程度に抑えられていました。特に脳血管性の認知症が半分以下に低くなっています。

大豆、魚、海藻、野菜と乳製品というのは非常に示唆的です。

大豆、魚、海藻、野菜は、和食の特徴でもある長寿食材です。ただし普通に食べると塩分が多くなりがちです。そこで、それらにプラスして乳製品を摂ることで、塩分の害を打ち消すカリウムやマグネシウム、カルシウムが摂れるのです。

ヨーグルトを自分で育てる

私も長年、家でカスピ海ヨーグルトを手作りしています。

ヨーグルトの種菌に普通の牛乳を加えれば、ヨーグルトは作れます。最近は種菌が食品メーカーのフジッコなどで通販されていて入手しやすいです。牛乳などを注ぎ足せば、ヨーグルトを繰り返し作れるのです。

手軽に作るには、開封した牛乳や豆乳のパックの中に、そのまま種菌を入れるとよいでしょう。器を殺菌する手間を省けます。また、専用のヨーグルトメーカーで作ると、温度管理や発酵後の冷蔵も自動でしてくれますので、非常に便利です。

私は長年、牛乳を入れて作ってきましたが、最近では豆乳で作ることもあります。そうすると、ヨーグルト自体にすでに大豆が入っていることになりますので一石二鳥なのです。いろんな豆乳で試してみましたが、おからの成分も入った無調整の豆乳だと、ヨーグルトの種菌と相性がよく、粘り気のあるいいヨーグルトができます。

いろいろなもので試して作りたいので、もととなる牛乳を加えたヨーグルトの種菌はつねに手元に残しておくようにしています。

手作りではなく市販のヨーグルトを選ぶ場合は、無糖のものを選んでください。甘いヨーグルトは意外に多く糖分が加えられています。

そして、少なくとも一週間くらい同じ種類のものを食べ続けてみるといいと思います。腸内細菌叢は、個人差が大きいので、ヨーグルトの菌との相性にも差があります。1週間食べ続けても、お通じがよくなるなどの効果が感じられない場合は、別の種類のヨーグルトに替えてみましょう。

自分にとって効果の感じられるものを探すのがおすすめです。

また、ヨーグルトを摂るのは、私は朝ですが、私の友人で夜にヨーグルトを摂るようにしてから20年、毎朝快便が続いて喜んでいる方もいます。