健康的な生活を送るうえで、バランスのよい食事は必要不可欠です。医学博士の家森幸男氏によると、80年代に沖縄からハワイ島に移住した人たちは、ある食べ物を日常的に食べることで「健康寿命」を伸ばした、という研究結果があるそうです。自身も80代で現役医師として活躍している家森氏の著書『80代現役医師夫婦の賢食術』(文藝春秋)より、体によい食事について、詳しくみていきましょう。
「長寿県」沖縄のソウルフードとは
1980年代、沖縄は日本でもナンバーワンの長寿県でした。その後、食生活が変わって長寿県から転落しましたが、伝統的な沖縄食は、豆腐などの大豆食品と多種類の魚介類、脂を落とした豚肉や種類豊富な野菜を摂り、しかも80年代当時は他の県より塩分摂取量が少なく、非常に健康的でした。
沖縄では土地が限られているため、移民として海外に出る方も多くいました。
もし、もともとDNAが近い沖縄県人が、移住した先によって寿命が大きく変わったとしたら、それは環境要因が非常に大きいということを示唆します。
そこで、私は多くの沖縄移民が住んでいたハワイのヒロと、ブラジルのカンポグランデを、1990年頃から数回にわたって調査しました。
結果は明らかでした。
ハワイのヒロに渡った沖縄移民は日本人をしのぐくらいの長寿だったのに対し、カンポグランデに渡った方たちは心臓死が増え、日本人よりも17年も寿命が短くなっていたのです。
この違いは一体何によるものなのでしょうか?
ハワイ諸島最大でビッグアイランドと呼ばれるハワイ島のヒロに住む日系移民は、1980代に日系人の中では世界一の長寿と言われるようになりました。
実際、私も数回調査に行って、元気なお年寄りが非常に多いことに驚かされました。
80歳でも保育士や大工仕事をボランティアでしている方がおられたり、90歳を超える方のお誕生日に家族や仲間が集まってお祝いをしたり。そういった生活を楽しむという生き方も健康長寿に効果があるのでしょう。
そして、さらに大きな長寿の鍵は、やはり食にありました。