魚介類をたくさん食べる「和食」と「地中海食」が、長寿食として注目されています。しかし、京大名誉教授であり、80代で現役医師である家森幸男氏によると、健康的な要素しかない魚にも「不健康になる食べ方」が存在する、といいます。家森氏の著書『80代現役医師夫婦の賢食術』(文藝春秋)より、詳しくみていきましょう。
健康寿命を延ばす「最強食材」=魚だが…まさかの“寿命を縮めてしまう”「危険すぎる食べ方」とは【京大名誉教授が助言】
肉は健康にいいのか?
一方、魚と並ぶ重要なたんぱく質源である、牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類は、健康によいのでしょうか?
答えは、それも「食べ方による」です。
肉も良質なたんぱく質であるのは事実ですが、動物性脂肪も多く含むので、普通に食べると、コレステロールや中性脂肪の摂取量も多くなるのが一番の問題です。
特に肉の「脂と塩」の悪魔の短命コンビを日常的に摂っている地域は、ほとんどが短命です。
たとえば、岩塩を大きな肉にはたきつけて食べる「シュラスコ」という名物料理のあるブラジル。
羊の肉と塩茶やバター茶を摂る習慣のあるシルクロードのカザフ族。
これらの地域は、脂いっぱいの肉と大量の塩を一緒に摂っているので、心臓死が多くて短命です。
ちなみに、琉球大学大学院医学研究科の益崎裕章教授の研究では、動物性の脂肪には、喫煙やアルコール以上の中毒性があることが、動物実験でわかっています。
動物実験の段階ではありますが、人間社会でも、脂肪が豊富な肉や、ラードの流入によって、たちまち長寿食文化が崩壊に向かうケースが多いことを考えると、非常に気になる結果です。
家森 幸男
武庫川女子大学健康科学総合研究所
国際健康開発部門長