サラリーマンであれば、給与明細の天引き額をみてため息をついた経験が一度や二度はあるでしょう。天引き額のなかでも多いのが年金保険料。「そんなに天引きされるのだから……」と、将来もらえる年金額に期待は膨らみますが、実際はどうなのでしょうか。みていきましょう。
〈月収24万円〉新卒サラリーマン、〈月4万円〉の天引き額に落胆し、将来の年金額に意気消沈「40年近く働いて、年金はこれだけ?」

天引きされる年金保険料「総額2,000万円超え」…もらえる年金額は?

――給与からこんなに引かれて、納得がいきません!

――でも、将来もらう年金のためにも、仕方がないよ

――天引きされた分、きちんともらえるんでしょうか?

 

そんな新入社員と先輩社員のやりとり。実際、どれくらい年金保険料を払い、どれくらいの年金がもらえるのでしょうか。

 

大学卒業→就職から60歳定年まで平均給与をもらい続けたとしたら、年金保険料はザっと計算して約2,370万円。まさにチリも積もれば山となる、スゴイ額です。では大卒サラリーマンが60歳で現役引退→65歳から年金生活に入るとしましょう。いったい年金はいくらもらえるのでしょうか。こちらも単純計算、老齢厚生年金は月13.2万円で、併給の老齢基礎年金と合わせると月20万円ほどになります。

 

――えっ、40年近くも頑張って働いても、たったそれしかもらえないの?

 

厚生年金受給者の平均受給額は月14万円、65歳の男性に限ると月17万円程度。平均よりも随分と高い予想であるものの、新入社員はすっかり意気消沈。

 

もし119ヵ月、およそ10年、年金をもらうことができれば、払った年金保険料よりも多くの年金を手にできるということになります。ただこれは額面での話。老齢年金は課税対象で、実際の手取り額は額面の85~90%になります。月20万円であれば17万~18万円ほどになる計算です。仮に月17万円だとしたら、139ヵ月。65歳から年金を受け取り始め12年弱、77歳になったころ「払った年金保険料分、元がとれた!」と歓喜するかも。

 

あくまでも現在の給与や保険料に基づくシミュレーションではありますが、そもそも日本の年金制度は賦課方式。現役世代の給与から天引きされた年金保険料でいまの高齢者の生活を支え、やがていまの現役世代が高齢者になったときには、そのときの現役世代に支えてもらうという仕組みです。そのため、天引きされる年金保険料と年金受給額を比べて、損得を考えるのは少々ナンセンス。しかし、そう考えないと、給与から色々と天引きされる額にため息しかでないサラリーマン人生、やっていられないのかもしれません。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

日本年金機構『国民年金保険料』

日本年金機構『厚生年金保険料額表』