行政書士でリスタートサポート木村勝事務所代表の木村勝氏によると、“半”個人事業主として成功するために社外人脈を形成する方法として、強くおすすめしていることがあるそうです。木村氏の著書『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より、詳しくみていきましょう。
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会社名刺とは役割が180度異なる「個人名刺」

出典:『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より抜粋
[図表]個人名刺を作成しよう! 出典:『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より抜粋

 

前のページではSNSを使って情報発信することをおすすめしました。少しアナログな方法ですが、会社勤めの時点から会社の肩書を外した自分独自の個人名刺を作成することも強くおすすめします。

 

[図表]に個人名刺作成のポイントをまとめたのでお読みください。個人名刺と会社名刺ではその役割が180度違います。

 

会社の名刺は「○○会社のあなた」を売るものです。サラリーマン名刺は会社という看板があっての自分です。受け取る人はあなた自身より社名や肩書に興味があります。

 

一方、個人名刺は、「あなた自身」を売るものです。あなたは、何ができてどんな人なのかがわかるものが個人名刺です。「誰のために、何をする専門家であるのか」がわかるのが個人名刺です。

 

東京都主催の東京セカンドキャリア塾の講義の中でも、個人名刺を作成することをおすすめしています。講座最終日には、ほかの期の修了者を交えて懇親会を行なうことがあるのですが、その際には多くの方が個人名刺を作成して懇親会に参加します。肩書を外した研修の中で会社の名刺はどうも違和感があります。そうした際に活躍するのが個人名刺です。

 

会社の名刺は、会社から離れると役に立ちません。筆者もある団体の事務局を務めたことがありますが、会社のメールアドレスを登録している方は、会社を離れるとともに音信不通になります。こちらから連絡を取ろうと思っても手段がありません。個人情報管理が厳しい昨今では元いた会社に問い合わせても個人の連絡先は教えてくれませんし、そもそも会社自体がそうした情報を把握していません。

 

個人名刺を作成する効果は、会社を離れたあとでの連絡手段という実利的な効果ももちろんありますが、それ以上に重要なのが「予祝」効果です。

 

予祝は、平凡社の『世界大百科事典』に次のように説明されています。

 

豊作や多産を祈って、一年間の農作業や秋の豊作を模擬実演する呪術行事。農耕儀礼の1つとして〈予祝行事〉が行なわれることが多い。あらかじめ期待する結果を模擬的に表現すると、そのとおりの結果が得られるという俗信にもとづいて行なわれる。

 

すなわち未来の姿を先に喜び、祝ってしまうことで現実を引き寄せるのです。

 

個人名刺にはこの「予祝」効果があります。将来実現したい姿を個人名刺に記載することで将来の姿がリアルに「見える化」され、自然にその実現に向けて行動を取るようになります。

 

筆者もサラリーマン時代からたくさんの個人名刺を作りました。東京セカンドキャリア塾のようなリアルの場面ではなかなか配ることはなかったのですが、予祝効果は十分に感じることができました。

 

個人名刺はネットでも簡単に作成できます。筆者の場合には、「デザイン百貨店」というサイトを利用しています。多くの名刺デザインがあり、名前などを変えることにより簡単に好みの名刺を作成できます。

 

サラリーマン時代にはロフトの名刺コーナーも利用しました。ロフトの隅にある印鑑などを扱うコーナーに名刺デザインの見本帳が置いてあります。ここで気に入ったデザインを選び、自分の氏名、メールアドレスに置き換えるだけでおしゃれなデザインの名刺が簡単に作れます。また、お近くにあるチェーン店の「はんこ屋さん21」でもオリジナルの名刺が作成できます。

 

個人名刺も「見える化」の手段です。いざ個人名刺を作ろうと思うと、「肩書はどうしよう?」「デザインは何がいいかな?」「提供サービスは何と書こうか?」など自分で考えざるを得ません。足りない部分が個人名刺作成のプロセスを通じて顕在化します。

 

SNSと個人名刺の両輪で自分のサービス・人柄を発信し続けることで、“半”個人事業主としてのデビューが現実になっていきます。

 



木村 勝

行政書士

リスタートサポート木村勝事務所 代表