会社のニーズを知る
「“半”個人事業主化」戦略では、まずは「今いる会社」(あるいは今いる会社と関係が深いグループ会社など)と雇用ではなく、独立して業務委託契約を結び仕事をしていくことを目指します。そのためには、今の仕事でどのようなニーズがあるかをあらかじめ徹底的にリサーチしておく必要があります。ここではそうしたニーズを見つけるためのポイントを解説します。
今の職場で「こういう仕事をしてくれる人がいたらいいな」を徹底的に考える
今いる職場の困りごとを一番わかっているのは、まさに今そこで当事者として働いているあなたです。今の職場を外部コンサルタントになった気持ちで客観的にながめて「今の職場の課題を解決してくれるこんな人がいればいいな」を書き出してみます。
・外注できるほどの定型業務ではないが、誰かが毎日やらなければいけない仕事がある。この仕事を担当してくれる人はいないかな?
・標準化されておらずマニュアルもない仕事。派遣社員を新たに契約して一から説明するだけで時間がかかる。本当は自分がやったほうが早いんだけど。
・古手やうるさ型の関係者が多く、その人たちと人間関係がある人でないとうまく仕事が進まない。新たに人を雇ってもうまくいかないのは目に見えている。
個人事業主を「スペシャリスト型」と「リリーフマン型」に分けてその特徴を考えた場合、上記のような悩みは、「スペシャリスト型」では解決できません。
「スペシャリスト型」は、一般的に「やるべきことが明確でパッケージ化が可能な仕事」であり、現時点でも外注化が可能な仕事です。具体例を挙げると研修講座の特定領域の講師を頼むようなケースであり、社内に対応できる講師がいない場合には、外部講師を依頼することはよく行なわれています。
また、コロナ禍では、どうしても出社して対応しなければならない、いわゆるエッセンシャルワークの重要性に改めて焦点が当たりました。逆に多くのサラリーマンが担っていたオフィスワークは、テレワークでも可能であることが明らかになりました。オフィスワークに関しては、2023年に登場したChatGPTなどAIの進展により、今後さらに価値が下がっていくことは否めません。
自らの首を絞めることになるため、大きな声では誰も言いませんが、「今のオフィスワークは、社員として雇用し、無理に職場に出社してもらわなくてもできる」ことが明らかになりました。書類作成や企画立案、会議などのいわゆるオフィスワークにこだわることなく、「一見、地味な仕事だけれども外部の人ではおいそれと対応できない業務」という視点も会社ニーズを探るポイントの1つです([図表])。