株価の流れを見る
株式投資は、株価が上昇したときだけでなく、下降したときにも利益を出すことができます。これを「空売り(信用売り)」といいます。
空売りは、証券会社に株を借りて、売ります。実際に持っていない株を売るので「空売り」といわれているのです。
売った株価よりも価格が下がったところで株を買い戻し、株を証券会社に返します。それが「空売り」の仕組みです。
株価に影響を与える情報(材料)が発表されると、そのニュースで株価が変動するような株のことを「材料株」といいます。お金を減らす人は、この材料株を安易に空売りしてしまい、大きな損失を出してしまうのです。
2014年に、ラオックスの株に空売りが急増したことがありました。赤字続きの会社で、中国資本が入ってなんとか細々とやっていた会社です。
株価は50円台を低迷していました。完全な負け組で潰れかけている会社だと業界で囁かれていましたし、さまざまな報道もありました。
ところが、ラオックスの株価は8月から大きく上昇しはじめます。50円だった株価が10月には150円、11月には200円、12月には300円を超えていきました。このとき、多くの投資家たちは「どうせ下がるだろう」と思い、空売りを増やしたのです。空売りの数は8月初旬で300万株、後半には1,500万株、10月には3,000万株、11月には4,000万株を超えたのです。
最終的に株価は500円まで上昇しました。約10倍も大化けしたのです。株価が50円のときに空売りした人は大損したことでしょう。
これは中国人観光客がラオックスで家電を爆買いしたおかげで業績が上向きになったのです。
ところが、中国人の爆買いも一時的なもので終焉します。炊飯器や温水洗浄便座などの家電が飛ぶように売れていたのが、彼らの関心が医薬品や化粧品などに移ったことで、ラオックスは再び業績が悪化します。株価も500円から70円まで下がりました。結局、元に戻ったのです。500円で空売りしていれば、大変な利益となります。
しかし、お金を増やす人は500円の段階で空売りはしません。まだ上昇する可能性があるからです。
お金を増やす人は、500円だった株価が300円くらいまで下がったところで、完全にトレンドが崩れたことを確認して空売りします。業績が悪くて赤字続きだからといって安易に空売りしないものです。
トレンドが崩れたかどうかは移動平均線を見ます。株価の流れのことをトレンドといい、上がり続けている状態を「上昇トレンド」、株価が下落している状態を「下降トレンド」といいます。
株価が下がり、移動平均線も下がってきたら、一般的には崩れたと見ていいでしょう。
具体的には200円まで株価が下がり、完全にチャートが崩れた(売りたい人が増えた)ことを確認して空売りしているということです。この人たちが、お金を増やす人なのです。
長谷川 伸一
ファイナンシャルアドバイザー