がんは余命宣告を受けることがある
厚生労働省「令和4年人口動態統計」によると、2022年の男女合わせた死亡数は156万8,961人(前年の143万9,856人より12万9,105人増加)で過去最多となっていますが、死因の上位は、
1位:悪性新生物(24.6%)
2位:心疾患(14.8%)
3位:老衰(11.4%)
4位:脳血管疾患(6.8%)
5位:肺炎(4.7%)
となっています。この上位5つの死因のうち、1位のがんはほかの原因と比べ余命宣告を受ける可能性が高いかもしれません。
たとえば心疾患や脳血管疾患で死に至る場合、急性で発症し処置が遅れ手遅れになるといったケースも少なくありません。また、老衰や肺炎、そして7位の不慮の事故(2.8%)なども前触れなく発症し症状が重い場合早期で死に至るというイメージかと思います。
一方のがんはほかの死因に比べると、発症から死に至るまでには時間があることも多く医師から余命宣告を受ける機会が多いといえるかもしれません。筆者も2019年の春、約9年間の母の乳がん治療において、最末期に主治医に別室に呼ばれ余命宣告を受けた経験があります。
そういった意味でリビングニーズ特約の保障はがんのためといっても過言ではないのかもしれません。ですから使うかどうかは別にしてもがんの備えの選択肢として知っておくことは非常に重要です。
解約した保険はもとに戻せない
リビングニーズ特約はあくまで希望に応じて使うことができるものという位置づけのため、保険会社から積極的に案内を受けることは期待しづらいですし、自分でその存在を知っていないと使うことができないものといえます。
そしてもうひとつ大事なことが自らの意思で解約した保険はもとには戻せないため慎重な判断が必要ということです。ですから今回の事例のように家計状況が悪化した際、生命保険の解約はひとつの選択肢ではありますが、その前にほかになにか選択肢がないか確認することが非常に重要です。
経済的に厳しい状態となったときに使える制度を1つでも多く知っておく
今回の事例において佐々木さんの保険の担当者はすでに退職してしまっていて、佐々木さんがいざ困ったときに気軽に相談できる担当者がいなかったという不運があったかもしれません。担当者が退職などでいなくなった場合、後任の担当者がついていることが一般的ですが、なにも用事がないと新しい担当者と関係を深める機会も少ないことが考えられます。
ですが保険は大きなお金が動く契約になります。実は経済的な厳しい状態となったときに、リビングニーズもそうですが、ほかにも使える制度がある場合があります。そのためそういった状況になった際にはあせって判断をせず、まず保険会社に相談をしてみることをおすすめいたします。
谷藤 淳一
株式会社ライフヴィジョン
代表取締役