定年後の働き方や年金の受取り方の考え方
内閣府、令和5年11月の「生活設計と年金に関する世論調査」で、収入を伴う仕事を61歳以降も行った方に、「その年齢まで働きたい理由」についてまとめたものが以下のグラフになります。『生活の糧を得るため』が最も高い割合ですが、『いきがい、社会参加のため』『健康にいいから』という理由も高くなる傾向があります。
定年後に働く際は「在職老齢年金」の制度に要注意
Yさんが、81歳時点で年金の受取額総額が一番多い、65歳からの受給を選択したとしましょう。また、妻や長女の言うとおり、しばらく会社員として継続して働くことにした場合、Yさんの年金は「在職老齢年金」の対象となります。
在職老齢年金とは、60歳以降に老齢厚生年金を受取りながら会社で働く方は、老齢厚生年金の月額と年収の月額相当額に応じて年金額の支給が停止になるという仕組みです。
Yさんの年金の月額は19万円です。この月額と、年収の12分の1に相当する額の合計額が50万円を超えると、超えた部分の2分の1の金額が支給停止となり、老齢年金の月額から差し引かれます。Yさんは、年金を全額受け取りたいと考えています。月の収入を50万円以下にするには、年金額が19万円であるので、
50万円-19万円=31万円
となります。給与収入は31万円以内で働けばよいということがわかります。
こちらは、同じく内閣府の調査で、厚生年金を受け取る年齢になったときの働き方についての意識をまとめたものです。
Yさんと同じ年代である60代は、「年金額が減らないように就業時間を調整しながら会社などで働く」という方の割合が一番多く、40.4%となっています。
Yさんは、働き方によっては給与収入だけで生活できるなら、70歳から年金を受け取るということも検討の余地があるかもしれません。しかし、繰下げ受給にはメリットだけでなく注意点もあることを確認しておく必要があります。