介護×貧困のダブルパンチ…先がまったく先が見えない「老老介護」の地獄
高齢化が進む、介護の現場。収入の大半を年金に頼る高齢者の割合が多く、収入のすべてが「公的年金」という割合は5割弱です。一方で、厚生年金の平均受給額は月14万円ほど。しかし月10万円に満たない人たちは全体の22.7%、月5万円に満たない人たちは全体の2.0%。低年金な人たちは、少数ではありますが、遠い存在ではありません。
さらに貯蓄も十分になければ、介護費用を賄えないことも。
年金月10万円の70歳以上の老夫婦。夫が要介護になったとしましょう。一般的な高齢者夫婦であれば、1ヵ月の平均生活費は25万円ほど。どんなに切り詰めても、毎月赤字で火の車。そこに介護費用がプラスされるとどうでしょう。
――お金がなくて(介護用の)おむつすら買えない
――どう生きていけばいいのか
老老介護に加えて貧困が老夫婦を苦しめることになります。まさに絶望感……そんな状態になったとき、頼れるのは「生活保護」。しかし「生活保護を受けていたら、介護保険サービスを利用できないのでは」という懸念を抱く人もいるでしょう。
結論からいうと、生活保護受給者でもさまざまな介護サービスや介護施設の利用が可能です。そもそも介護保険サービスを利用するのに、生活保護の受給有無は関係ありません。生活保護受給者は介護保険料が「生活扶助」から賄われ、介護サービスを受ける際の自己負担額は「介護扶助」から賄われます。ただ、各自治体が必要と認めた介護保険サービスに限定されるのが基本で、希望通りにサービスが受けられるとは限りません。
厚生労働省『2022年度被保護者調査』によると、生活保護世帯は161万9,452世帯。そのうち介護扶助のある生活保護世帯は39万7,226世帯で、そのうち高齢者世帯は35万3,898世帯。多くが単身世帯で、2人世帯は2万9,147世帯、3人以上世帯が263世帯、4人以上が17世帯です。
要支援・要介護者に対して、生活保護を受ける高齢者世帯は35万世帯。介護と貧困に直面する人たちは、決して珍しくないことがわかります。
介護負担が大きいことは容易に想像できます。そのうえ介護者が高齢者、さらには貧困となると、八方塞がりになります。まずは役所に相談し貧困問題を解決できれば、本人に必要な介護を受けることができます。
[参考資料]