生活保護を受ける「年金受給者」の平均年金受取額「月4万5,560円」
高齢者の生活を支える公的年金。厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』によると、44.0%が収入のすべてが公的年年金と回答。収入の80~100%も含めると6割を超え、いかに高齢者が年金に依存しているかが分かります。
年金を受給しながら生活保護を受けているのは90万1,238人。そのうち65歳以上が74万3,981人、老齢・退職年金等を受給しているのは65万7,544人で、平均年金受取額は4万5,560円です。そして高齢者世帯の生活保護費(扶助額)は、平均6万6,829円。年金と生活保護費、月11万円程度で最低限度の生活を送っている……生活保護を手にする高齢者の平均像がみえてきました。
厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると厚生年金受給者で生活保護受給者平均の年金月4万5,560円に満たないのは全体の1.4~2.0%とごくわずか。一方で国民年金のみの受給者では11.6~25.6%。国民年金は満額受給でも月6.8万円(令和6年度)なので、当然といえば当然ですが、年金への依存度が高い高齢者、国民年金だけだと、老後の生活はひっ迫し、生活保護に頼らざるを得ない人も多いようです。
貧困に陥りやすい低年金の高齢者。しかし、低年金だからといって誰もが生活保護を受けられるとは限りません。「年金が少なくて、もう、生きていけない!」と、役所に助けを求めた70代の独身男性がいたとします。
――お仕事はされてますか?
――いえ
――元気そうなので、働いてみてはいかがでしょうか?
総務省『労働力調査(2022年度)』によると、70代前半の就業率は33.5%と、3人に1人は働いています。また70代後半の就業率は11.0%と10人に1人は働いている状況。この数値は年々上昇し、いまや70代でも働くことは普通の光景になりつつあります。定年を迎えて隠居生活をしているような高齢者であっても、生活に困窮しているなら働いて解決、というのは冷酷に聞こえても真っ当なアドバイスなのです。
このように生活保護を受けるためには、収入が最低生活費を下回っていることのほか、最低生活費を下回る貯蓄等資産もないこと、親族に頼れる状態にないことなどが条件。働けるなら働いて、それでも収入が最低生活費を下回っていれば、その差額は支給される可能性があります。生活保護費は元々わたしたちの税金。本当の困窮者でなければ、基本的に支援を受けることは許されません。
[参考資料]