憲法で定められている「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する「生活保護」。厚生労働省『被保護者調査』から、生活保護者の実態を紐解いていくとともに、生活保護を受けられない母子世帯の実情をみていきます。
もう限界です…月収10万円の母子「生活保護」を受けられず、物価高で家賃滞納「これ以上、助けてと叫んでも」

離婚でシングルマザーは「貧困」&「生活保護」になりやすい

厚生労働省『令和4年度被保護者調査』によると、生活保護世帯は161万9,452世帯。そのうち、6万3,369世帯は母子世帯です。

 

調査年にズレはありますが、『令和2年 国勢調査』によると、母子世帯は全国で64万6,809世帯。つまり母子世帯10組に1組は、生活保護を受けざるをえない状況にあるといえます。

 

地域別にみていくと、生活保護の母子世帯数の最多は「東京都」で5万3,043世帯。「大阪府」4万8,627世帯「神奈川県」3万8,079世帯「北海道」3万7,287世帯「福岡県」3万5,804世帯と続きます。また母子世帯全体に占める生活保護を受ける母子世帯の割合は、最多が「東京都」で13.1%。続いて「徳島県」で8.4%。「三重県」「千葉県」「埼玉県」と続きます。

 

【都道府県別「生活保護受給の母子世帯率」ワースト5】

1位「東京都」6,988世帯(13.17%)

2位「徳島県」330世帯(8.47%)

3位「三重県」487世帯(5.72%)

4位「千葉県」1,517世帯(5.70%)

5位「埼玉県」1,752世帯(5.45%)

 

母子世帯になる理由はさまざまですが、夫との死別によって母子世帯となり、生活保護を受けている世帯は963世帯。死別による母子世帯の2.25%です。それに対し、離婚によって母子世帯となり生活保護を受けている世帯は4万2,360世帯。離別による母子世帯の8.13%。同じ母子世帯でも離婚のほうが、その後、生活が困窮する可能性が高いといえます。

 

死別の場合、母子世帯となった際に経済的に困らない程度の保証を準備していることも多い一方で、離別の場合、母子世帯となった際の保証となる養育費がきちんと支払われなかったり、そもそもきちんと取り決めを行っていない場合が多いことが、生活保護の母子世帯が多くなる理由のひとつ。

 

厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』によると、「養育費の取り決めを行っている」のは46.8%、「養育費の取り決めを行っていない」のは51.0%と、そもそも過半数が養育費の取り決めを行っていません。

 

なぜ養育費の取り決めを行っていないのか……最多が「相手に支払う意思がないと思った」で40.5%。続いて「相手に支払う能力がないと思った」が33.7%。さらにDV等が原因だと「取り決めの交渉がわずらわしい」(19.2%)と、離婚することが最優先され、養育費の交渉すら行わないケースも多いようです。

 

また養育費の取り決めを行っていても、そのうち文書を取り交わしているのは76.6%と、4人に1人の割合で不確実な状況にあります。