出世するたびに立派になっていく役職。順調に昇進していき定年を迎える……そんなキャリアを誰もが歩むわけではなく、会社によっては50~55歳でポストオフ(役職定年)となり、非役職者に転換するケースも。モチベーションは大きく低下し、なかには退職を選ぶ人も多いようです。その先に待ち受けるものとは……みていきましょう。
月収75万円だったが…役職を失った57歳サラリーマン「みじめです。」心が折れて定年前に退職を決意も、65歳で後悔する年金月額

55歳でポストオフ…役職のなくなった元部長のみじめ

――みじめです。

――これほどやる気がなくなるとは…

 

57歳、元部長だというサラリーマンの嘆き。55歳でポストオフとなり、役職が一切なくなったといいます。

 

会社が定めた年齢に達した際に課長や部長などの役職から外れる制度であるポストオフ(役職定年)。人事院『平成29年度 民間企業の勤務条件制度等調査』によると16.4%企業で採用。従業員500人以上の企業に限定すると30.7%で採用と、大企業ほど導入が進んでいます。

 

ポストオフが広がったきっかけは、定年年齢の引き上げ。1980年代、55歳だった定年が60歳へと引き上げとなり、企業はその分の人件費を負担しなければなりませんでした。そこで登場したのがポストオフ。役職に区切りをつけて、その分、人件費を抑えようとしたわけです。また組織の新陳代謝や若手社員の育成、不足する管理職の解消などの効果も期待され、大企業を中心に採用されていきました。

 

一方で問題点も。最も大きいのがモチベーションの低下。その最大の要因とされるのが、給与減です。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、従業員1,000人以上の大企業勤務、大卒50代前半の部長職の平均給与は、月収で74.8万円、賞与も含めた年収で1,267.4万円。55歳でポストオフとなり、非役職者になったら。月収は45.7万円、年収で783.8万円。月収で30万円、年収で500万円弱も減るわけですから、モチベーションを保てというほうが無理な話です。

 

またポストオフを機に、配置転換が行われるケースが多く、これまでの経験や技術を活かせなくなることもモチベーション低下に繋がっているとされています。さらに異動がなかったとしても、それまで部下が上司となるケースもあり、お互いがぎこちない関係に。「役職定年者が余計な口を挟むなよ」と陰口を叩かれることも多く、

 

――まるで会社のお荷物

――老害扱い……

 

会社にいることに意味を感じなくなり、退職の道を選ぶケースも珍しくはないようです。