老後のために自助努力の必要性がいわれていますが、年金も貯蓄も退職金も、すべてが「平均」であれば、老後の安泰は確実のように思えます。しかし実際は不安を募らせる人は多いようです。みていきましょう。
退職金2,000万円、貯金2,500万円「64歳・勝ち組夫婦」…悠々自適な老後のはずが、妻「30年ぶりに働きに出ます」のワケ

年金、貯蓄額、退職金…すべてが「平均」だったなら、悠々自適な老後は確定⁉

総務省『2023年度 家計調査 家計収支編』によると、65歳以上の単身者の消費支出は14万9,033円、65歳以上の無職の夫婦の消費支出は250,959円です。

 

【高齢者の1ヵ月の平均支出】

消費支出…14万9,033円/250,959円

(内訳)

食料…42,049円/72,930円

住居…23,799円/16,827円

光熱・水道…13,045円/22,422円

家具・家事用品…5,760円/10,477円

被服及び履物…4,447円/5,159円

保健医療…7,367円/16,879円

交通・通信…21,654円/30,729円

教育…2円/5円

教養娯楽…18,794円/24,690円

その他の消費支出…30,704円/50,839円

※数値左「65歳以上単身者(勤労)/共に65歳以上の無職の夫婦」

 

それに対して、貯蓄はどれほどあるのか、というと、65歳以上の無職の夫婦で平均2,509万円。負債は平均29万円でした。

 

また、老後の備えとしては退職金を期待している人も多いでしょう。厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、大学・大学院卒の「定年退職金の平均額」は1,896万円。また大学・大学院卒について勤続年数別にみていくと、「勤続20~24年」で1,021万円、「勤続25~29年」で1,559万円、「勤続30~34年」で1,891万円、「勤続35年以上」で2,037万円となります。

 

さらに老後の生活を支える年金は……厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金の平均受取額は、併給の国民年金と合わせて平均14万4,982円。65歳以上に限ると、男性16万7,388円、女性が10万9,165円です。国民年金は満額受給であれば、月6万8,000円(令和6年度)。平均的な元会社員と専業主婦であれば、月23万5,388円。ただしこれは額面なので、実際の手取りは20万~21.2万円ほどになる計算です。

 

あくまでも仮定の話ですが、平均的な年金額を手にする「元会社員+専業主婦」が平均的な暮らしをしたら、月5万円赤字。それを貯蓄の取り崩しで対応したら、約40年間で貯蓄がゼロに……逆からいえば「夫婦で100歳を超えても大丈夫」と、なんともおめでたい結果がみえてきます。