増える高齢者の一人暮らし
65歳以上の者のいる世帯についてみると、令和元年現在、世帯数は2,558万4,000世帯と、右肩上がりで増えており、全世帯(5,178万5,000世帯)の約半数の49.4%を占めています。
また、昭和55年では世帯構造のなかで三世代世帯の割合が最も多かったことに対し、令和元年では夫婦のみの世帯に次いで単独世帯が多くなっています。
実家に帰ると…母の姿に衝撃
夫との関係に疲れ切ったAさんは、自分自身の気分転換も兼ねて母親の様子を見に3日ほど実家に帰る決心をします。
Aさんの実家は海に近く、懐かしい潮の香りをかぐだけで心が洗われそうです。
家に帰る道中、ストレスの半分もすでに解消したようなAさんでしたが、実家に着くと驚くべき光景を目にします。この家は古く、昼間も電気を付けないと暗くて仕方がないのですが、電気もつけず暗い部屋の中で母親は布団を敷いて寝ているのです。
Aさんは「お母さん、どうしたの!?」と駆け寄りますが、さらにやせ細ったような母親は「おなかが痛い」と言って動こうとしません。すぐにタクシーを呼んで病院に連れて行くと、食が細いことで便秘が続いていたようで、そのために腹痛を起こしていたようでした。
落ち着いた母親に話を聞くと、「食欲がない」「電気代も高くなったから電気もテレビも付けないようにしていた」と言います。
Aさんの父親は自営業だったため遺族年金はなく、母親の年金額も月に5万円程度です。節約のために一人で暗い家の中で過ごしていたかと思うと、母親が不憫になってしまいました。
母親は1週間ほど入院することになり、Aさんはそばに付いていることにしました。夫に電話をすると「僕のご飯はどうするの?」と、信じられない言葉が返ってきました。めったに怒らないAさんでしたが、これには激怒。「それなら、あなたもこっちに来なさいよ!」