5%超の「賃上げ」といわれているが…大事なのは物価上昇以上のベースアップ
2024年の春季労使交渉の集中回答日を迎え、主要製造業の8割が満額回答が相次ぎ、なかには要求額を上回る回答も。賃上げムードが続くなか、専門家の間では2023年実績の3.58%を上回る4%弱の予測がされていましたが、積極的な労使の姿勢を受けて上方修正も。全体平均で5%を上回る賃上げもありうるという見方もあります。
一般的に「賃上げ」は、定期昇給とベースアップ双方が含まれます。よくいわれる「賃上げ目標」は、年齢や勤続年数に応じて企業が行う定期昇給を2%前後とし、そこにベースアップ目標を足したもの。定期昇給は企業が定める昇給制度であり、元から人件費として組み込まれているもの。昨今、何かと騒がれている物価上昇に伴う賃上げとは連動しないもの。
そこで注目すべきはベースアップ。これは全社員の給与を一律上げる仕組みであり、こちらこそが、ぶっけ上昇を受けての実質的な賃上げと呼べるもの。総務省が公表している2023年の消費者物価指数は、前年比3.2%上昇。この物価上昇率を超えるベースアップを実現しないとなかなか賃上げの効果は実感できないものに。
社長が「よし世の中の流れにのって、うちも賃上げするぞ!」と宣言した際には「ベースアップはどれほどですか?」と聞いてみてはどうでしょう?
サラリーマンの給与…理想と現実
世の中的には「物価上昇を上回る賃上げ」に焦点が集まっていますが、サラリーマン的には長期的に昇給できるかどうか、ということも大きな関心ごとです。
明治安田生命保険相互会社が行った『理想の上司アンケート調査』によると、「働くことで望むこと」のトップは「お金を稼ぐこと」で62.7%。新入社員のトップは「ワークライフバランスを重視して働くこと」で59.7%ですが、「お金を稼ぐこと」も僅差で59.0%。やはり働く以上は「稼ぐこと」が目標となります。
また理想の年収は、新入社員の平均が1,118万円、社会人平均が1,032万円。年齢別にみていくと、20代は1,065万円、30代が1,022万円、40代、50代が1,021万円。
ただ現実とは大きなギャップがあるようで、社会人全体では436万円、年齢別では20代で561万円、30代で448万円、40代で386万円、50代で349万円。年齢とともに昇給していくにしたがって理想とのギャップは小さくなっていきますが、その差はかなり大きなものといえるでしょう。