老人ホームは介護が必要になったり、自宅での介護が難しくなったりしたら入居するところ、というイメージが強いですが、昨今は健康な人でも入居できる施設が増え、高齢者の住まいの選択肢のひとつとして人気が高まっています。そんな老人ホーム、気に入って入居したはずが退去を決めるケースも珍しくはありません。みていきましょう。
年金月16万円・元気が取り柄の77歳の母「老人ホームに入る」と仰天宣言…あれから5年、突然「ホームを出る」と嗚咽したワケ

健康で風邪知らずの77歳の母が、突然の仰天宣言

――突然、母が老人ホームに入ると言い出して驚きました

 

50代女性の投稿。5年ほど前の衝撃を話します。当時母は77歳。健康で風邪知らず、元気が取りえの母の突然の宣言に、娘である女性はもちろん、親戚中に衝撃が走ったといいます。

 

――まだ元気なのに、なんで?

 

女性の問いかけに対して母は、漠然とひとり暮らしに不安を感じたといいます。15年前に父が亡くなって以来、ひとり暮らし。父が亡くなった直後はふさぎ込んでいるときもあったといいますが、何か吹っ切れたようにセカンドライフを楽しんでいたといいます。だからこそ、母から老人ホームという言葉が出て切るとは意外でした。

 

――あなたたち(3人の子どもたち)、何かあってもすぐに駆けつけることのできない距離に住んでいるじゃない

――80歳を前に、ふと、一人のときに何かあったらどうしようと不安になることが多くなったの

――そんなときに、ポストに入っていた老人ホームのチラシをみて見学に行ってみたのよ

 

見学に行ったのは、隣町に出来て間もない老人ホーム。介護を必要としない人でも入居することができ、サークル活動が盛んであることがウリだとうたっていました。

 

何となく気になって見学を予約。新規オープンというだけあり、施設・設備は真新しく、試食もさせてもらったら美味しくて。うたっている通り、サークル活動が盛んのようで外出も自由。入居者は介護を必要としない人が中心で、万が一、介護が必要になっても、しっかりと対応してくれるところもポイントでした。

 

――まだ空きはあるんですか?

 

2室ほど空いているという回答。気になるのは費用。母は毎月16万円ほどの年金をもらっていましたが、プラス毎月5万円ほどで入居できることが分かりました。

 

――一応、貯金もあるし。家(実家)も売ってしまえば、万が一のことが起きても大丈夫

 

「家があると相続のとき、あんたたち(3人の子ども)揉めるでしょ。だから今のうちに現金にしておくわ」と言って、自分で決めた老人ホームに母は入居していったといいます。