学校を卒業して以来、大変なこと、苦しいことばかりのサラリーマン。勤め上げたことのご褒美が、退職金です。「定年退職を迎えたら、退職金で何をしようか」と夢を語っている人も多いでしょう。しかし夢を実現できる人は限られているようです。みていきましょう。
ハワイのはずが近場の温泉旅館に…月収「52万円」退職金「1,900万円」勤続「38年」のサラリーマン、妻に懺悔したワケ

定年退職したら、退職金でハワイに行こう!夫婦で夢を語っていたが

退職金を受け取ることのできる人たちの半数以上は、もらった退職金をまず「預貯金」。そして“ご褒美”に使っている人は5人に1人程度。意外と少ない印象です。

 

――定年を迎えたらハワイでものんびり行こうか

 

そんな会話を妻としていたという60代の男性。大学卒業後に就職してからは長い休みを取ることはできず、結婚後も家族とゆっくりと遠出をすることはできなかったとか。長年、支えてくれた妻への労いも込めて、定年退職を迎えたら退職金を使ってゆっくりと海外旅行にでも行こうと夢を語っていたといいます。

 

そして60歳で定年退職。手にした退職金は平均的なものでしたが、ハワイに旅行に行くには十分すぎる金額です。しかし実際に行ったのは近場の温泉旅館。いつもより長めの2泊3日だったといいます。

 

――ごめんな、ハワイって行っていたのに……

 

妻に懺悔したのは、定年後を考えると、生活費が不十分だと判断したから。「とてもハワイといえるほどではなかった」と男性。

 

実際に前出の調査でも、60代の62.1%は「早めに資産形成をしておけばと後悔している」と回答。老後を見据えたとき「退職金でパーッと」といえる状況にない人が多いのです。

 

資産形成のコツのひとつは、時間を味方につけ、複利効果で資産を増やしていくこと。そして余裕資産があるなら、預貯金以外に目を向けても。たとえば大手銀行の普通預金の金利は0.001%。2倍に増やすとなると7万年以上の時間が必要。老後を見据えて資産を増やしたいという場合、少々ゆっくり過ぎるのです。

 

金融庁『高齢社会における資産形成・管理』によると、「(現役時代から投資を行い)退職金で投資をした」という60代70.3%、「(現役時代は投資を行っておらず)退職金で投資をした」という60代は11.9%。10人に1人は60代で投資デビューをしています。

 

もちろん、若いうちから資産形成を進められていたら御の字。退職金を活用して投資にチャレンジするのも、長い老後を考えると有効です。もちろん、投資は元本を保証するものではありません。退職金のすべてを投資に……というのはかなり危険。まずは、どれくらいリスクを取ることができるのか、冷静に分析することが第一歩です。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』

一般社団法人投資信託協会『60歳代以上の投資信託等に関するアンケート調査(2022年3月)』

金融庁『高齢社会における資産形成・管理』