2024年1月から始まった「新NISA」。資産形成の選択肢のひとつとして頻繁に推奨されています。しかし実際のところ、物価高、上がらない賃金に悩む日本人にとって、資産形成はそう簡単なことではないようで……。本記事では、Aさんの事例とともに日本人の資産形成について、CFPの伊藤貴徳氏が解説します。
日本人の3人に1人が年収300万円以下…年収290万円の20代会社員「貯金すらできないのに」それでも「新NISAやれ」の無茶ぶり【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

資産形成の必要性を確認する手段

いまの生活をなおざりにしてまで、将来のために積立をするという方は少ないでしょう。

 

また、年代を絞らず、日本人全体の年収をみてみても、年収300万円以下の人の割合は36.2%となっています(国税庁長官官房企画課 令和3年分民間給与実態統計調査)。つまり、およそ3人に1人が年収300万円以下となります。

 

とはいえ、金融庁が発表した「市場ワーキング・グループ」の報告書に記載された「老後2,000万円問題」のニュースが記憶に残っている方も多いはずです。同報告書に端を発した、「これから起こりうるであろう将来の生活資金の過不足の認識」については理解をしておく必要があります。 

 

年金も、新NISAも、投資も、貯金も、目的は「将来のため」です。将来にはいろいろなものがありますが、「老後」を将来をするならば言い換えれば老後に無理なく生活するための資金を準備する手段なのです。 

 

老後にどのくらいの資金が必要になるか、それは年金で足りるのか。それが自分に置き換えた場合はどうなるか。まずは老後の着地点を確認することで少なくとも漠然とした不安は減ることでしょう。 積立をはじめとした資産形成の必要性を確認する手段ともなります。 

 

もし足りないのであれば、どのような手段で補うのかを考えればいいのです。 「自分は準備が必要か、必要でないか」を知ることからでも始めてみてはいかがでしょうか。 

 

 

 

伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス
代表