老後の負担をさらに減らす返済方法
さらに、この8万8,229円の返済額を当初予定の約10万円にすることで、返済期間を短縮することができますから、老後の負担を大きく減らすことができます。
(3) 毎月10万円を5年間貯蓄し、5年後に月の返済額10万円のローンで住まいを購入する場合
2,400万円を26年ローンで借りた場合、毎月の返済額は98,242円、総返済額は約3,065万円となります。
※フラット35(1)(2)と同じ金利で算出
返済期間を4年も短縮することができます。ローンの完済年齢を70歳から66歳に短縮することができるのはもちろん、収入がダウンする60代のローン残高も大きく違ってきます。
(1)の場合
60歳時点のローン残高:約1,075万円 65歳時点のローン残高:約564万円
(3)の場合
60歳時点のローン残高:約 667万円 65歳時点のローン残高:約117万円
これからの住まいの買い方
新型コロナ以降、家計の状況にも大きな変化がありました。収入が減ってしまう、場合によっては仕事がなくなってしまう人もいました。さらに電気代やガス代が上昇もあり、食料品の値上げも毎月のようにニュースになっています。金利の上昇もいつになるか、とささやかれるようになり、以前よりも先行きの不透明感は増している状況です。
ですから、5年後の住宅ローンの金利は誰にもわかりませんし、同じ3,000万円の予算でいまと同じような家を建てられる保証はありません。
しかし、よく計画も立てずに頭金ゼロであわてて住まいを購入してしまうのはリスクが大きすぎます。「いま、買ってしまって繰り上げ返済すればいい」という考えもありますが、住宅ローンを返済しながら繰り上げ返済の資金も併せて作っていく余裕のないご家庭もあります。繰り上げ返済することを前提に住宅ローンを組むことはリスクが高すぎます。
一番重要なのは、「めいっぱい借りないこと」です。「借りられる金額=返せる金額」ではありません。将来が見えにくい時代ですから、「背伸びして理想の住まいを入手する」のではなく、「身の丈にあった住まいを手に入れる」ことを考えて計画していきましょう。
Aさん夫妻は、「とりあえず、すぐに家を建てないで、2~3年は頭金を作っていくことに専念しようと思います。景気もどうなるかわからないので、状況を見ながら建てるタイミングや物件を決めてみようと思います」とのことでした。
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所
代表